東小金井の家風景を切り取る小さな板の集積
家の中に周りの風景をそのまま取り込むのではなく、場に合わせて風景を切り取り、そのひとつひとつを改めて頭の中で組み合わせることで風景を感じられるようにした。そして、その風景を切り取る小さな板を内部空間にまで波及させ、街と緩やかに連続した様々な場をつくり出している。明暗や天井の高さ、部屋の大きさの異なる場の繋がりは多様である。子供部屋、寝室といった行為別にこだわらないという建主の柔軟な考え方があったからこそ、夏は涼しいところ、冬は暖かいところと最も居心地の良いところを探すネコのように、その時々で過ごす場を移りかえていく多様な使い方のできる住宅になっている。
新建築住宅特集2016年5月号 東京建築賞(東京建築士事務所協会)2019