吉祥寺の家周辺環境に呼応する二曲がりの平面
武蔵野でありながらも整然と区画された吉祥寺の街は、江戸時代の街の区割の名残であり、時代とともに更に細長く分割されながら、家々が規則正しく並んでいる。東西方向に対してやや振れた五日市街道から垂直に延びる道沿いに、狭い間口で家々が建ち並んでいるため、南からの採光はどの敷地も隣家に大きく影響される。また、吉祥寺ならではの落ち着いた緑豊かな街並みを、各々が意識高く維持に努めていくことも忘れてはならないだろう。 このような街区の中で、まずは街並みに対してシンプルな切妻屋根のファサードを持つボリュームを配置し、隣地の家々や庭に呼応するように、長方形の平面をクネクネと2カ所で曲げた平面をつくった。その折れ曲がり点には玄関やバルコニーを設けて外部との接点をつくり、窓を緑や抜けを考慮した配置している。断面方向は都市住宅ならでは立体パズルを解くことで、立体的な変化も加わり、周囲、特に地面との関係に変化が生まれ、敷地周辺との関係をより多様なものにしている。