MDSKiyotoshi Mori + Natsuko Kawamura

野菜を自ら育て食するための畑と共に、その環境を素直に取り込んだ南アルプスを望む八ヶ岳の裾野に建つ山荘。冬の寒い時期を考慮し、太陽の光を最大限取り込めるよう建物配置を南に開いた扇状とすることで、常にどこかでひなたぼっこができる間取りを考えた。一方夏は、門型に迫り出した屋根・壁の形態が強い日差しを遮り、南北に窓を設けることで家の中を風が通り抜け、涼をとることができる。扇状の平面を持つ空間を連続して配置することで、その空間どうしをつなぐ開口部越しに軸の振れた風景が広がり、単純な間取り構成の中に様々なシーンが展開する。そして、それぞれの空間より見える外の風景も、近景の畑や杜であったり、遠景の山々であったりと異なる風景がフレーミングされ、屋内外を通して変化に富んだシーンが内在する空間となっている。