MDSが設計・監理に携わった「ジンカンパニー本社ビル」に、
久しぶりに出掛けてきました。
今年の夏に竣工したアパレルメーカーの事務所ビルです。
写真をあまり撮れなかったので、竣工時のものをアップします。
コンクリートの外装にしたいという施主要望と、
アパレルメーカーの本社ビルということを考慮し、
布の可能性を追求するように、
コンクリートの素材の可能性を追求することにしました。
普通型枠だけでなく、特殊な形状の型枠、杉板の型枠など、
様々なコンクリートの表現になっています。
3種類の用途地域にまたがった複雑な敷地だったため、
高さを規定する斜線制限も複雑で、それをかわした建物形状になっています。
夜になると松の影も加わり、陰影の独特な外観となります。
エントランス。照明器具はジンカンパニーさん自ら、
アンティークショップで選ばれたもの。会社の世界観が伝わってきます。
事務所の床は一般的なOAフロアではなく無垢フローリングとし
LAN、電話などの配線類はオリジナルの配線ピットに納めました。
コンクリートブロックの壁に囲まれたルーフテラスは、
喫煙スペースとしても使えるリフレッシュゾーンです。
吹き抜けが上下階に一帯感をつくり、1階の執務空間にも光を届けます。
吹抜け部分の打合スペース
住居・エントランス部分。
曲線の壁にはシューズクローゼットとトイレを配置。
リビングとリビングと同じ大きさほどあるルーフテラス。
社員やご友人など大勢の方を呼んで、
パーティーができるスペースになっています。
リビングの家具とキッチンは一体感のあるデザインで。
コンクリート小たたき仕上げの壁に杉無垢材の階段。
フローリングの床仕上げにもこだわりました。
こちらは客間です。
トップライトからの光が差し込む洗面、バスルーム。
カテゴリー: After construction
お宅訪問
「たまらん坂の家」
新建築住宅特集の撮影で「たまらん坂の家」に行ってきました。
今回の撮影は井上登さんです。
掲載号は未定ですが、今からとても楽しみです。
「たまらん坂の家」では、屋根も含めて各階の床を2枚ずつつくっています。
その2枚の床の間をどう使うかがテーマとなっています。
※このブログの写真はカメラマンの石井さんに撮影していただいたものです。
2階全景。
等間隔に渡る梁がダイナミックな印象を与えています。
その上は屋根面まで吹き抜け、ところどころ板を張った
ロフトになっています。
リビングスペースは2階の2枚の床のうち、
「上の床」をくり抜いて生まれたくぼみ部分に。
ソファは「下の床」、テレビは「上の床」に置かれています。
リビングスペースの梁の上には板が張られ、
屋根面との間にロフトをつくりつつ、リビングの天井高さとなっています。
リビングスペースの対面にはワークスペースを。
同様に、「上の床」が机上面になっています。
机の反対側の「上の床」は本などを置く棚として使います。
階段見下ろし。この家のテーマがよくわかる部分です。
2枚の床は時に机になったり棚になったり、本来の床として使ったり。
ここでは飾り棚として上下階移動の際に目を楽しませてくれます。
そしてそのどれにも当てはまらない部分は床下収納や天井裏収納として
使われます。
階段見上げ。
玄関ホール。
右手は間仕切り自由な個室スペースとなっており、
どこからでも出入りできるよう、入口と収納家具を交互に配置しています。
個室スペースの天井は2階の「下の床」となっていおり、
部分的にくり抜いて、天井裏収納で使ったり、
2階との接点としてあいまいにつながっていたりします。
外観はシンプルな片流れ。
野趣に富んだ中にセンスの光る、とても素敵な植栽です。
内部夕景。
2枚の床の間にもところどころあかりが灯ります。
アプローチ夕景。
2階の窓の向こうはワークスペース。
等間隔の梁が奥行きを感じさせます。
「ふじみ野の家」
夏の初めに竣工した「ふじみ野の家」。
入居されてから初めて訪問してきました。
この秋に玄関右手にシンボルツリーが植えられる予定。
手前の土の部分は建主Aさんのガーデニングの楽しみにとってあります。
2階テラスにも少し大きめの観葉植物を置かれるとのこと。
植栽の完成が待ち遠しいです。
廊下の向こうにぼんやりと明るい階段を。
階段を上がると、1階とは打って変わって
自然光がやさしくまわり込む、立体的な空間となっています。
見上げると空。ルーフテラスから光がまわり込みます。
正面窓の外には畑が広がり、空が大きく、遠くまで見渡せます。
リビング。
右手のテラスには観葉植物がいくつか置かれる予定です。
ルーフテラスにも植物があると、あちこちの窓から緑が見えて
目にも楽しい景色になりそう。早く緑、欲しいですね。
ダイニング。
借景の緑がとても豊かで美しいです。
「たまプラーザの家」
まだ畑の残る緑濃い長閑な風景の中、
三角屋根の稜線が青い空にくっきりと浮かび上がります。
この春竣工した「たまプラーザの家」。
緩やかなイチョウ並木の坂道を上がった先にぽつんと建っています。
家の脇には栗の木も。秋の味覚の宝庫です!(笑)
これからいよいよシーズンですね。
栗はお隣さんのものですが・・・
アプローチの芝生も育ち、シンボルツリーの代わりに
少し大きめの鉢に観葉植物が植えられています。
外壁沿いの花壇にも大小様々な鉢植えが。
置かれている植物もそうですが、器である鉢が違うだけで
印象がずいぶんと変わります。
濃い色の外壁をキャンバスに、とても素敵にされていました。
信楽焼きの狸もお出迎えです。
中に入り階段を見上げると、壁・天井が屋根の頂点に向かって
のびていく様子がわかります。
階段を上がり左手奥がリビング、右手がダイニング・キッチンです。
屋根形状そのままに吹き抜けたワンルームになっています。
リビング。
大きな窓の外には手に届きそうな距離に栗の木があります。
その向こうは急勾配の傾斜地で、空が大きく開け、対岸の丘が見渡せます。
ダイニング・キッチン。
ゆくゆくはパン教室をされたいと思っていらっしゃる程、
パンづくりを趣味にされているため、キッチン廻りをゆったりと計画しました。
そしてイチョウ並木を切り取るように、横長のスリット状の窓を。
家の中に居ながらにして、四季を感じられる絵のような窓です。
秋には黄金色に輝く、目にも眩しい見事な黄葉となります。
余談ですが、工事はちょうど秋真っ只中。 現場監督のTさんをはじめ、
職人さんたちはかなりの数の銀杏を収穫したようです。(笑)
水廻りはコンパクトですが、明るくさわやかに。
窓の外の緑が美しく、とても贅沢な小空間となっています。
「七里ガ浜の家」
昨年春に竣工した「七里ガ浜の家」。
久しぶりにお伺いしてきました。
敷地は遠くに江ノ島を望むことのできる高台の住宅地にあります。
建物の形はシンプルな切妻。(上の写真は桁側。)
内部は少し複雑な断面構成になっています。
玄関までのアプローチ、植栽がよく手入れされています。
妻側の外観です。
この日は秋晴れの素晴らしい天候に恵まれました。
角の大きな窓からは江ノ島が見えます。
玄関。外部とは裏腹に、抑えた色調にしています。
玄関を違う角度から。
色調を抑えているからこそ、窓の明かりが際立ちます。
階段を上がり、ダイニングへ。
ダイニングからリビングを見たところ。
スキップフロアで緩やかにつながっていますが、
雰囲気の全く違う二つの部屋になっています。
リビングからは家の中がこんなふうに見えます。
半層上にルーフテラス、半層下にダイニングがあります。
明るく立体的な空間となっています。
リビング。
切妻の屋根形状を生かした空間となっています。
左手に江ノ島の見えるルーフテラスがあり、正面の縦長の窓からは富士山、
右手の横スリット窓からは竹林が見えます。
夜はこんな感じになります。
ルーフテラスから江ノ島を望む景色は素晴らしいのですが、
家の中を振り返っても、楽しい眺めになっていると思います(笑)
リビング見返し。奥に寝室があります。
リビングとは扉により間仕切ることもできます。
建物の中でもいちばん陽のあたらない部分にあえて和室を。
静かで落ち着いた雰囲気になりました。
右手のスリット窓の外には和の坪庭が。
左手の壁には、以前より所有されていてお蔵入りしていた
銅版でつくられた屏風を加工し、壁にはめ込みました。
今まで眠っていたものが蘇り、和室に趣を与えてくれています。
浴室です。窓の外には現在育成中の竹林が。
まだまだお隣さんと目があってしまいそうですが、
ゆくゆくはライトアップされた竹林を眺めながら入るのが夢。
ルーフテラスからは江ノ島から富士山、丹沢まで望めます。
夏には冷たいビールを片手に、江ノ島の花火をゆっくり堪能できます。
ああ、羨ましい・・・