松濤の茶室の写真が出来上がりました。
カテゴリー: Tea house
しごと – 茶室
松濤の梅
照明の調整@松濤の庭
松濤プロジェクトの庭がようやく完成。造園は大まかには設計図をもとに進められますが、現場で樹木を見ながら色々なものが変更となり、、、それに伴って照明など諸々も当然、変更となります。
基本的には家の中から見えることを前提としたライティングを考えているのですが、回遊式庭園でもあるので歩いている時に眩しくないようにもしなければいけません。
今回も照明はシリウス。戸恒さんの指示のもと、スタッフの井上さんが白梅の巨木を照らすスポットライトをセッティング。戸恒さんと造園設計の戸田さんと同時にお会いするのは、ロシアのプロジェクト以来なので6、7年ぶり。ということで、お仕事の後は忘年会へ。
外構工事@松濤
すでに建物はお引き渡しを終えた松濤のプロジェクトの外構工事は今が大詰め。駐車場のコンクリートに一二三(ひふみ)石を埋め込みます。一二三石といえば修学院離宮の隣雲亭などが有名ですが、造園設計の戸田先生をお手本に職人さんが石を敷き詰めていきます。その後、別の場所で打ち合わせをして、戻ってみると、、、
この通り!素晴らしい!一二三ではなく一二三四五ですね(笑)。
門を潜って雁行させて玄関に辿り着くようにしているのですが、こちらは石を敷き詰めているところ。
木の正確な位置や向きも、一本一本あちらこちらから見ながら決めていきます。
2年ほど預かっていただいて松も茶室の前に植わりました。
そして、苔を貼って、、、、
ほぼ完成。あとは門と塀、そして照明のセッティングを残すのみ。
「松濤の家Ⅱ」お引渡し
松濤のプロジェジェクトの本宅と茶室、ようやくお引渡しをすることができました。昨年の夏には賃貸棟が竣工しましたが、そもそもお話をいただいたのは3年半前。住宅としてはかなり長期スパンのプロジェクトでしたが、一旦、ストップといったようなこともなく、擁壁工事、解体、外構工事なども含めて、流れるようなスケジュールで進めて参りましたので感無量です。
こちらは本宅の玄関を入ってすぐの和室。格子の障子を開けると、白梅の巨木があります。残念ながら庭はまだ工事中で、あともう一息。
和室からリビング方向を見るとこんな感じです。
ファミリーゾーンとフォーマルゾーンは扉で仕切ることもできます。
扉にはめ込まれているのはアンティークガラス。
ダイニングキッチン
その扉を開けると正面に階段、左側はフォーマルダイニング。
そして、壁は既存再利用の大谷石。2階に上がると・・・・
壁面がガラス貼りのバレエスタジオ。
ルーフテラスにはジャグジーがあります。1階のプライベートのバスルームとは別に、2階にはゲストを招くことを想定したサウナ付きのバスルーム。
植栽と巨石の大移動
松濤のプロジェクトの本宅と茶室の足場が外れていよいよ外構工事。
戸田先生の見守る中、茶室と賃貸棟の間に黒松を移動中。
大きな樹木の配置が終わると、次に巨石の大移動。
チェーンで吊り上げて、くるっと回します。
重機も使いますが、、、、なかなか大変そうですね。
そして、一週間後はこんな感じです。
飛び石が良い感じに配置され、ワクワクしてきますね。
「松濤の茶室」差石と犬走り
「松濤の茶室」はいよいよ竣工に近づいてまいりました。
束石の横に差石(伊勢吾郎太石)をこのように並べていきます。
解体時に番号をふってあったので、それを参考に並べていきます。
そして、このような感じなりました。続いて、手前の犬走り。
犬走りも伊勢吾郎太石です。流石にこちらは、現状に合わせて再配置しているとのこと。歪な石を並べているのですが、外側はガイドに沿って比較的に直線的な石を並べているので、綺麗なラインが出ていますね。角もきちんと角ばっています。
水平ラインもこのように測りながら石をセットしているから、ピシッとするのですね。ところで、再配置する際に元の石だけで同じ範囲を埋めつくすのは流石に難しいのでは?と思い、職人さんに訪ねると、やはり似た石をいくつか持ち込んでいるとのこと。ですよね・・・・(笑)。
歪な大きな靴脱ぎ石の周りも綺麗に敷き詰められています。石と石の隙間にモルタルを丁寧に詰めているところ。本来ここは土足で歩き回るところですが、こんな手仕事を見ていると雑巾掛けしたくなりますね。。。
「松濤の茶室」左官
「松濤の茶室」天井の仕上げ
「松濤の茶室」は、いよいよ天井の工事です。
茶室4畳半、水屋2畳の小さな空間ですが、天井仕上げをいろいろ変えています。
茶室メインの天井は竿縁天井。竿縁は真竹で化粧板は杉の挽板です。
短手方向の板のつなぎはこのようになっています。
長手方向にはこのように胡麻割竹を入れています。手の込んだ天井です。
茶室天井の一部は貴人口の庇を室内に貫入させ、屋根裏の構成を見せた掛込天井となっています。
化粧板は杉柾、垂木はコブシ、間垂木と小舞は女竹です。
床の間の天井は杉の鏡板。
水屋竿縁天井の化粧板は屋久杉の挽板です。
そして、竿縁は磨き丸太で、廻り縁は錆び丸太です。
流しの上は杉挽板の網代天井。
玄関は虎竹の垂木の蒲芯漆喰押えの掛込天井です。
ガマの上から漆喰を塗ったあまり見かけない仕上げです。
来週からはいよいよ左官工事。竣工が楽しみです。
「松濤の茶室」銅板貼り
「松濤の茶室」の屋根が銅板が貼られて、煌々と輝いています!
貼り残されたところは瓦の仕上げとなります。
母屋の先端にも丸太に合わせて美しく銅板が巻かれています。
この輝きは風雨にさらされて年月をかけて緑青に変わっていくのが楽しみ。
こちらは外壁下部の竹の木賊(トクサ)貼り。
一見、ただ並べて貼っているように見えますが、、、
一本一本、光付けしているので隙間なく並んでいるのです。。。流石です!
「松濤の茶室」断熱と空調
ようやく屋根全体が板で覆われました。
元々は断熱はありませんでしたが、断熱材を入れています。
空調は極力目立たないように天井裏にダクトを展開させて、
天井スリットから吸排気することにしました。
ところで、軒先の女竹。よく見ると、全部行儀よく大小2本づつ並んでいます。
竹の太さは地面に近い方が太く一定ではないので、
2本合わせてどこも同じ幅になるように上下組み合わせているとのこと。
なるほど!素晴らしい!
「松濤の茶室」屋根工事
「松濤の茶室」ようやく屋根らしくなってきました。
このあたりの板材は以前のものを洗ったものです。
下から見るとこのような感じになっています。
二本抱き合わせの女竹は傷んでいたので、新しいものに取り替えています。
建物の坪単価を算出する際の坪数は色々なものがありますが、
茶室の場合は建物内部に加えて庇や軒も含めた軒坪で計算することが多いです。
この作業を見ていると、室外も室内と同様に扱うのは当然ですね。
「松濤の茶室」祝!上棟
「松濤の茶室」が上棟しました!
半世紀ほど前に京都東山からここ松濤に移築された茶室を、
本宅の建て替えにあわせて適切な位置に再移築するというものですが、
京都に建っていた状態に戻しつつ、若干、敷地に合わせてプランと立面を変更し、
現代の技術と知恵を使ってつくり変えています。
茶室の外側にはひとまわり大きな屋根で覆い、その中で工事が進められています。
これらの部材は長らく水澤工務店の倉庫で預かっていただいていたのですが、
塗り壁の下地の木摺も半世紀以上前の貴重なものなので、
大きな版のまま解体して痛んだところだけ入れ替え、洗って再利用。
その上の明るい色をした梁は今回、新しく入れていますが、他の梁は前のままです。
その梁は仕上げの奥に入って竣工したら見えないのですが、
以前に似た曲がったものを探してきていて、少しでも原型に近づけています。
土台や大引きも一部とり替えていますが、はじいたものも束などに再利用しています。
おお!石が浮いています!
複雑な石の形にあわせて柱を削る数奇屋大工の技の一つ「ひかりつけ」。
外観から見えるところは極力、以前のままとしていますが、
ベタ基礎に四周土手を立ち上げるように基礎を立ち上げて、土台を回し、
水が入らないようになった大引きの束は、ゴムパッキンの上に置き、
外周の束石はこのように下からボルトで締めています。
こうすることで長期的にも石と柱の隙間が開くこともありません。
隣の本宅の現代の軸組工法とこちらの伝統工法の工事が併走して進み、
比較しながら木造の現場が見える貴重な機会。
工事の規模や施工方法は全く違うのですが、だからこそどちらも面白いですね。
猛暑の中の造園工事
猛暑の中、松濤の現場は植栽の大移動。
屋根に当たらないように大きな木を移動するのは大変そう。。。
チェーンで吊り上げて、ユンボ2台で押すと、、、
ほんの少し移動したような、しないような?
打合せが終わって進捗状況を見に行くと、わずかに動いていました。
数時間でたったこれだけ。。。。見ているだけでも疲れてきました。
造園設計の戸田さんにも随時チェックしていただきたながら、
植栽だけでなく、巨石や灯籠などを配置していきました。
暑い中、お疲れさまです!
クロガネモチの根回し
「松濤の家」の植栽大移動はいよいよ大詰め。
今回、大谷石の塀を全面直すにあたり、
このクロガネモチの巨木を移動しなければなりません。
木の周りの根を切り、1年根回ししておく予定でしたが、
根は掘ったあたりにほとんどなく、塀側と直下にのびているようです。
つまり、移動する際にそれらの根を切る必要があり、
このような場合は、木が枯れてしまう恐れが高くなるとのこと。。。。
ただ、これを移動しないときちんと擁壁を直せないので困ったものです。
松濤は元々、鍋島藩のお屋敷があったところで、
大谷石の塀は大政奉還の頃に出来たものらしく、
あちらこちらで同じような問題に直面しているようです。
「松濤の家」茶室の解体
「松濤の家」の茶室の解体がいよいよ始まりました。
こちらの茶室は一時、水澤工務店で保管していただき、
元々、茶室のあったところに賃貸棟をつくります。
そして、茶室は別の場所に少しカタチを変えて建てることになります。
工事用の屋根で覆われた茶室。お寺の修復などでよく見る光景ですね。
京都から半世紀ほど前に、こちらに移築された由緒ある茶室なので、
解体の時にも雨に濡れないように屋根をつけるのは当然のこと。
基本的には使える部材は洗って使うので、
釘の一本一本もとても丁寧に外しながら、解体していきます。
朝一から打合せしている間に、約500枚の瓦が全部取り外されていました。
痛んだ瓦は新しいものに変えますが、使えるものは移築した時に使います。
瓦の下のトントン葺き。薄い木を一枚一枚、丁寧に取り外していきます。
今ではほとんど使われないものなので、実物を見たのは初めて。
コレだけで防水しているのに、雨が漏らないのが不思議です。
数日後、現場に来ると、銅板はすべて取り外されていて、
屋根の板を外す工程に入っていました。
そして、次の日はこのような感じに。
普段は、下からしか見ることができませんが、
上から眺めると、どのように作られているのか、よくわかります。
土庇が室内にそのまま入って、勾配天井になっているのがわかります。
つくるのとは順番が真逆なだけなので、巻き戻せばつくる順番。
きちんとした数寄屋建築を携わることはなかなかないので、
このような機会はとても勉強になります。この先が、とても楽しみ。
紅白の梅と茶室
松濤の家の茶室解体が来月はじまるということで、
記録写真を撮りにいくことに。
紅梅の向こう側に見えるのが解体する茶室。
手前の白梅より紅梅は咲く時期が遅いので、
紅白の梅が同時に咲いているタイミングをねらうのは難しく、
白梅は少し散り気味ですね。
この茶室は京都から半世紀ほど前に移築したものですが、
明るく、現代人にも使い勝手が良さそう。
障子を開けると白梅が見えるようになっています。
勿論、移築後も梅が見えるように配置する予定。