「松濤の茶室」が上棟しました!
半世紀ほど前に京都東山からここ松濤に移築された茶室を、
本宅の建て替えにあわせて適切な位置に再移築するというものですが、
京都に建っていた状態に戻しつつ、若干、敷地に合わせてプランと立面を変更し、
現代の技術と知恵を使ってつくり変えています。
茶室の外側にはひとまわり大きな屋根で覆い、その中で工事が進められています。
これらの部材は長らく水澤工務店の倉庫で預かっていただいていたのですが、
塗り壁の下地の木摺も半世紀以上前の貴重なものなので、
大きな版のまま解体して痛んだところだけ入れ替え、洗って再利用。
その上の明るい色をした梁は今回、新しく入れていますが、他の梁は前のままです。
その梁は仕上げの奥に入って竣工したら見えないのですが、
以前に似た曲がったものを探してきていて、少しでも原型に近づけています。
土台や大引きも一部とり替えていますが、はじいたものも束などに再利用しています。
おお!石が浮いています!
複雑な石の形にあわせて柱を削る数奇屋大工の技の一つ「ひかりつけ」。
外観から見えるところは極力、以前のままとしていますが、
ベタ基礎に四周土手を立ち上げるように基礎を立ち上げて、土台を回し、
水が入らないようになった大引きの束は、ゴムパッキンの上に置き、
外周の束石はこのように下からボルトで締めています。
こうすることで長期的にも石と柱の隙間が開くこともありません。
隣の本宅の現代の軸組工法とこちらの伝統工法の工事が併走して進み、
比較しながら木造の現場が見える貴重な機会。
工事の規模や施工方法は全く違うのですが、だからこそどちらも面白いですね。