「京都迎賓館」見学のために泊まる宿となると、
やはり「極上のおもてなし」の名旅館に泊まろうということになり、
世界中の誰もが絶賛する「俵屋旅館」に泊まることにしました。
「俵屋旅館」は伊藤博文、大隈重信などの明治の偉人から
スピルバーグ、ヒッチコック、米国大統領などなど、
世界中の著名人が泊まったことでも有名ですが、
建築家の間でも高級旅館と言えば必ずこの俵屋が上がります。
これまでに何度も俵屋旅館の話になりますが、
この旅館の批判をする人に出会ったことがありません。
あらゆる分野の超一流の誰もが絶賛するこの旅館は、
何が、どれほど素晴らしいのかを実際に体感したいと、
前々から思っていたのですが・・・・・
はじめて実際にエントランスをくぐり抜けた時、
やや拍子抜けするほど「さりげない」というのが第一印象でした。
そして、帰る時にはまた来たいと思わせるようになっていて、
これぞ「おもてなし」なのかと、その神髄がわかった気がしました。
一流ホテルとは違った質素な入り口ですが、
訪れたのが祇園祭りの時期だったので「ハレ」の顔。
雁行しながら、先に進むとこちらに。
気張らない入り口ですが、素晴らしい屏風が飾ってあります。
季節によってしつらえは変えているようです。
高級旅館であることを感じさせない優しい雰囲気ですが、
さりげなくおいてあるものは超一流のもの。
暗がりの先に、中庭が見えます。
とても落ち着く小さな中庭です。
廊下が迷路のようになっていますが、ここが分岐点になっています。
庭の向こうに見えるのが、
こちらの図書スペース。
到着すると、こちらに通されます。
奥の部屋の壁は、和紙向こう側から光を透けさせる洒落たデザイン。
こちらがアーネストスタディ。
オーナーのご主人、故アーネスト・サトウのお部屋だったところですが、
今はだれもが使えるパブリックなスペースになっています。
北欧家具と興味深い本がぎっしり。
本屋ではなかなか見かけかないような数寄屋建築の大型本などもあって、
つい自分の世界に入ってします(笑)。
ただ、部屋は広くはないので、他の人がいるとやや気になる距離感?
センスの良い小物やお花があちらこちらに飾っています。
「おもてなし」が「サービス」とは違うのは、
そこに報酬が発生しないからだとどこかで聞いたことがあります。
サービス料はあるけど、おもてなし料というものはなく、
そこがホテルと旅館との違いだということらしい。
俵屋の超一流のおもてなしは、さりげない気配りだと思いました。
マニュアル化させれた親切さの押し売りは一流ではないんですね。
とても勉強になりました。
建物は吉村順三の手がけた新館、施工は中村外二工務店と器も一流。
長くなるので、今日はここまで。