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コラム10/「暮らし」に息づく趣向

 設計者はどこまで住み手の暮らし方を想定して、細かいところまでつくり込むべきなのでしょうか?「住宅は“建主”のモノなので、あまりつくり込まずにシンプルな箱をつくり、引渡し後に“建主”が家を完成させていくべきです。」という声が時々聞こえてきますが、本当にそれでよいのでしょうか?建築家として住宅を設計するのであれば、それでは少し役不足なような気もします。確かに住み手の住み方によって空間はより素晴らしいものになりますし、建築家の自己満足でしかないプランより、シンプルな箱の方が空間に可能性がある場合もありますが、敷地から家具までシームレスにデザインするからこそできる空間もあります。建築家は住み手の5年後、10年後、あるいは住み手が変わった50年後をイメージしながら、どこまでつくり込むかの加減を見極めなければなりません。もちろん、イメージしたとおりに住み手は使わないかもしれませんが、様々なシーンを想定すること自体が大切で、その予想を遥かに超えて住み手が住みこなしていく可能性を持たせるべきだと思っています。
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「志木の家」お宅訪問

今年の夏に竣工した「志木の家」に行ってきました。
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漆黒の闇に包まれた個性的な住宅です。
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建て主の強い要望もあって仕上げはほとんどが黒で、
和紙、左官、タイル、木といった素材と光沢の違いで様々な表情をつくり出します。
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床のように大きなテーブルを家の中心に設え、食事はもちろん、テレビを見たり、
夫婦それぞれのデスクトップコンピュータを置いてネットサーフィンしたり、
そこでほぼ全てのことが行われます。
ソファの背後には横になりながらテレビを見るベッドスペース、
その両側にそれぞれの書斎があります。
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レースのカーテンで曖昧に仕切られたワンルーム空間となっています。
付かず離れず、夫婦二人のための適度な距離感のある住宅は、
漆黒の闇でありながら、周りの緑をすくい取って光が差し込み、
静かな二人だけの特別な空間です。
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とても個性的な住宅ですが、のどかな風景の中にひっそりと建っています。
この住宅ほど黒く、光を抑えたものを設計したことがありませんが、
数ヶ月住んだ建主様の感想は、
明るさはイメージ通りでとても落ち着くとのことで、
素材と光沢によるわずかな光の映ろいを楽めるとご満足のご様子。
設計者としてもとてもうれしいです。

コラム9/使い勝手を編み込む「間取り」 

 多くの建主にとって、「家」は街並やコンセプトといったものよりも「使いやすさ」が最も重要で、満足度に大きく影響します。そのため、設計する際にはこの「使いやすさ」について建主の要望に耳を傾けるのは至極当然のこととなります。一方で、建主の要望どおりの「使いやすさ」を織り込んだだけの住宅は、新鮮味のないものになりがちです。「使いやすさ」というものがこれまでの生活で慣れ親しんだものと同じであることが多く、例えばマンション住まいをしていた人が、「使いやすさ」だけを求めて自分の要望どおりにつくると、自ずとマンションの一室のようなものになってしまうというのはよくある例です。
 建築家は建主の言ったとおりにつくってくれないという話を聞きます。確かに建築作品をつくろうとだけ考えている人も少なからずいますが、建主に言われたとおりにつくる人もいて、むしろ、最近は建築家と名乗るそのような人の方が多いように思います。しかし、本来、建築家はその何れにも偏るものではなく、建主が要望していることはもちろん、要望していないことも含め、ありとあらゆる視点で実直に考え、より良いものを追求してこそ価値があるのではないでしょうか?そして、せっかく新しい暮らしをはじめるのであれば、これまでの生活の仕方や固定観念にとらわれずに、柔軟に「使いやすさ」を含めて空間を考えてみることが建主にも求められているのかもしれません。
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「東小金井の家」内装工事

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「東小金井の家」の現場に行ってきました。
内装は断熱工事を終え、プラスターボードを貼るフェーズに。
仕上がりの雰囲気がほぼ把握できるようになってきました。
竣工が楽しみです。

「代田の町家」見学

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数年前に売りに出ていた坂本一成氏設計の1976年竣工の「代田の町家」。
新しい住み手が決まりリニューアルされました。
リニューアル前に一度拝見させていただことがあるので、今回は2度目。
階段廻りが少し変わったり、キッチン、洗面浴室は新品の状態になっていますが、
床の石も含め、色もほぼオリジナルのまま。
それでいて古さを全く感じさせないというのは、素晴らしいですね。
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こちらは緑道側。シルバーの外壁が輝いています。
竣工当時もこの状態だったらしいのですが、
新建築は白黒だったこともありシルバーの印象はあまりないようです。
途中で色を塗ってしまったようですが、今回オリジナルの状態に戻したとのこと。

コラム8/影をいざなう「アカリ」  

仕事だ、学校だ、といっていると、一日のうちに家で過ごす時間は、案外太陽が沈んだ後の方が長いかもしれません。そんな日常において、家で過ごす夜の時間を豊かにするために、「アカリ」はおろそかにできません。
桂離宮の月見台や月波楼、高松の掬月亭など、名前に「月」のついた建築は数知れず、古来日本には月を愛でる文化があります。月明かりは闇があるからこそ引き立ち、その風情を感じることができます。今は街に光が溢れ、空を仰いで月を眺めることは残念ながら少なくなっています。もちろん、光がないと空間を捉えることはできませんが、全体が明るく影のない空間は、奥行きのない退屈なものとなってしまいます。空間に質感をもたらす陰翳をつくること、すなわち「影のデザイン」は昼夜を問わずとても大切なことなのです。
これまでの私たちの多くのプロジェクトで照明計画に携わっていただいているSIRIUSの戸恒浩人氏はこう語っています。「『照明デザイン』は、照明器具そのもののデザインではなく、建築のコンセプトや構成を理解した上で、建築に光を与えて魅せる照明計画です。昨今のLED照明の急速な進化と普及によって、照明計画も変化しています。LEDになって、器具の形や大きさの種類が増え、緻密な調光ができるようになり、その結果繊細な照明計画が可能になりました。一昔前の照明計画では省エネなどの経済性が重視されていましたが、現在では昼から夜への感覚的な変化や人間の感性に寄り添う計画が求められるようになりました。」
今後も新しい時代の夜の空間を模索していこうと思っています。
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ル・コルビジェ×日本@国立近現代建築資料館

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旧岩崎邸の隣にある国立近現代建築資料館に行ってきました。
理科大の美術館の設計課題の敷地ということで行ったのですが、
ル・コルビジェ×日本展がやっていました。
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僕が教えに行っている日大の学生(廣田研究室)がつくった立派な模型が、
展示してありありました。11月8日までですのでご興味がある方はお早めに!

タンゴと鬼子母神

雑司ヶ谷のタンゴバー、エル・チョクロに行ってきました。
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以前から気になっていた雑司ヶ谷の住宅地にひっそりと佇むライブハウス。
古い木造住宅を改装したようです。
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タンゴということで、アルゼンチンのビール・キルメスをいただきながら、
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タルタ・デ・チョクロ(とうもろこしのキッシュ)とチョリソー、
エンパナーダ(ビーフミートパイ)のアルゼンチン料理。
そして、アルゼンチンの赤ワインと、
すっかりタンゴの気分になったところで、、、、
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いよいよ近藤久美子さん(バイオリン)とレオナルド・ブラーボさん(ギター)の演奏です。
とてもこじんまりとした落ち着いた空間で、しかも間近で聴くタンゴは格別。
良い意味でタンゴらしい日本の場末感がここにありますね。
タンゴと言えばバンドネオンというイメージが強いのですが、
もともとはギターと、フルートといった管楽器からはじまり、
バイオリン、そしてさらに遅れてバンドネオンが入ってきたとのこと。
そんなバンドネオンが今やタンゴの代名詞になっているのが腑に落ちない(?)
という近藤さんのご主人は、
若手バンドネオン奏者のリーダー的存在、小松亮太氏です(笑)。
そんな興味深い話も交えたとても楽しいライブでした。
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ライブハウスを出ると、ちょうど鬼子母神のお祭りで雑司ヶ谷は人で一杯。
レトロな雰囲気を醸し出す都電と池袋の超高層ビルを背景に写真を一枚。
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宗教行事ではありますが、ややサンバのように聞こえなくもなく、、、、
楽しそうに激しく踊り狂う(?)集団もいる不思議な光景です。
東京にこんなお祭りがあるとは知りませんでした。
タンゴと鬼子母神、雑司ヶ谷は不思議な街です。すっかり気に入りました。

ドイツ「 SCALE- ENCLOSE | BUILD 」に「白金の家」

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ドイツの出版社から発売された 「SCALE- ENCLOSE | BUILD 」で、
MDSが設計した白金の家が紹介されました。
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アントニオ・ガウディ設計のカサ・バトリョ、
パリのノートルダム寺院、
リートフェルト設計のシュレーダー邸、
フランク・ロイド・ライト設計のミラード邸などなど
世界遺産クラスの建築の続きで、
右ページ左下、MDS設計の白金の家が解説されています。。。。。光栄です!