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コペンハーゲン16/エッグチェアとSASロイヤルホテル

ヤコブセンのデザインしたエッグチェアは、
SASロイヤルホテルのラウンジのためにつくられた、
ということをご存知の方は多いと思います。
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今はラディソングループの傘下となり、
ラディソンブルーSASロイヤルホテルとなっています。
少し時代の流れに乗れていない印象をうけたので泊まらず、
ラウンジの見学だけに行ってきました。
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こちらがラウンジにあるエッグチェア。
人を包み込むこの椅子のデザインにより、
確かに座っている人の顔は見えづらくなっています。
発祥はこちらですが、やや混み合っている印象が・・・
ひとつだけでも書斎やリビングの窓辺にあると絵になる椅子です。

コペンハーゲン14/ヤコブセンとルードブレ

ヤコブセンは日本では家具デザイナーという印象が強いですが、
実は建築をたくさん設計している建築家です。
コペンハーゲンの近郊、ルードブレの市庁舎と図書館を見てきました。
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やや時代を感じさせるルードブレ市庁舎。
外観はザ・モダニズムですね。
残念ながら閉まっていましたが、残業している職員がいたので、
外からガラスをたたいて無理矢理(?)開けて頂きました。
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この市庁舎で有名なのが、この議会室なのではないでしょうか。
無理を言って入れてもらったので、
残念ながら照明で照らされた天井は見ることはできませんでした。
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こちらの階段ホールもよく見かけるところですね。
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市庁舎の真向かいにあるのが図書館。
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円形のトップライトと中庭が、美しい風景を作り出しています。

コペンハーゲン15/デンマーク国立銀行

ヤコブセンの設計した建物は、
コペンハーゲン市内にもいくつかあります。
そのひとつが、デンマーク国立銀行。
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短手方向は石のボックス、
長手方向はガラスのボックスを連続させたような外観。
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運河の対岸から見たところ。
建物もいいですが、ボートに乗っている人たちがいいですね。
江戸にも運河があったのに・・・。
前の東京オリンピックで東京は近代化しましたが、
今度の東京オリンピックでは文化的な街に変えていきたいものです。
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ガラスのスリットのディテール。
少しだけ真ん中のフィンが傾いています。
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この写真は銀行のHPのもの。
内観は素晴らしいのですが、残念ながら入れませんでした。
天井から吊られた有名な階段。
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スリットから差し込む光が美しいですね。

コペンハーゲン13/ヤコブセンとベルビュービーチ

ザハ設計の美術館があるKlampenborg駅の反対側には、
ベルビュービーチと言われる海水浴場がひろがっています。
セブンチェア、エッグチェアなどの家具デザナーとして知られる
アルネ・ヤコブセンの設計した建物が、その海岸沿いにたくさんあります。
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対岸にスウェーデンが見えるベルビュービーチ。
白とブルーの監視塔はヤコブセンの設計。
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こちらはヤコブセンが設計したベラヴィスタ。
この集合住宅は、ヤコブセンが若い頃、コンペでとり、
世界中から注目を集めるきっかけになった初期代表作。
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ベラヴィスタのすぐ隣のスーホルム。
こちらの集合住宅もヤコブセンの設計。
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ベルビュービーチの見えるこちらに、
ヤコブセンは晩年過ごされていたようです。
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こちらもヤコブセンが設計したシアター。
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こちらはレストラン・ヤコブセン。
ビーチの沿いの店ですが、夏の休日なのに閉まっていました。
椅子は置いてありましたが、閉店している感じでしたので、
行かれる方は要注意!
北欧と言えども夏はさずがに暑いです。
ビーチ沿いをひたらすら歩いてくたくたです。
ガソリンスタンドもあるようでしたがギブアップ。
残念ながらどれも中には入れなかったので、
いまひとつ盛り上がり欠けました。。。。
どうせなら、海水浴を楽しむというのも良かったかも。

コペンハーゲン12/ザハとフィンユール

今日、オリンピックが東京に決定しましたね。
正直、以前はあまり興味がなかったのですが、
朝、ニュースで聞いた時、やっぱり嬉しくなりました。
ところで、
その新しい東京オリンピックのメインスタジアムを設計するのは、
イラク出身の建築家、ザハ・ハディッドに既に決まっています。
ユダヤ博物館の設計者のダニエル・リベスキンドと同様、
デコン(脱構築主義)の第一人者で、
数年前、東京にザハが設計した移動美術館、
シャネルミュージアムが来た時にとても話題になったので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
ザハの設計した建物は他にもいくつか見たことがありますが、
コペンハーゲンにも、彼女が設計した美術館がひとつあり、
今回、それを見てきました。
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コペハーゲンの中心部から電車で北へ20分。
Klampenborg駅からバスで10分のところに、
ザハ・ハディッド設計のオードルップゴー美術館があります。
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こちらはレストランの内観。
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ザハの建築が緑の中に現代アートにように置かれています。
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ランチはこんな感じ。美味しかったです。
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外部には緑の中に現代アートが点在しています。
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この美術館のもうひとつの見所はフィンユールの自邸です。
時間帯によっては中も見ることができます。
エントランス周りの家具と階段が融合したあたりが、
素晴らしかったのですが、写真が撮れなくてちょっと残念。

コペンハーゲン11/リベスキンドのユダヤ博物館

再び、コペンハーゲンの続きです。
まずは、ユダヤ博物館から。こちらの建物の設計者は、
ベルリンのユダヤ博物館と同じ、ダニエル・リベスキンド。
学生の頃、デ・コンストラクションという流れがあり、その第一人者。
ドローングをよく真似していたのがとても懐かしいです。
とは言うものの、彼の実作を見たのはこれがはじめて。
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王立図書館の裏側の17世紀の建物のコンバージョン。
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床、壁、天井にには水平垂直がなく、ランダムのスリッット。
ベルリンのユダヤ博物館と似ているところもありますが、
空間的には全くの別物。とても小さな空間ですが、
古い建物と新しいものとの対比が良いですね。
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仕上げは合板ビス止めとかなりローコストな内装ですが、
元々の箱が良いのでチープさを感じません。
このような感じに永く愛される建築をつくりたいものです。

アンドレアス・グルスキー展@新国立美術館

アンドレアス・グルスキー展に行ってきました。
彼はドイツの写真家ですが、代表作のひとつ「ライン川2」が、
史上高値で落札されたというニュースで、
ご存知の方も多いのではないでしょうか?
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こちらが「ライン川2」。
この作品の解説は、他のサイトに譲るとして・・・
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僕のお目当てはこちらのカミオカンデ。
この大きさではわかりませんが、下の方に船に乗った人がいます。
事務所の最寄り、表参道駅にも大きなポスターが貼っていて、
これは行かねばという気にさせられました。
大きな写真でないと伝わらない良さが体感できるので、
是非、美術館に行かれることをおすすめします。
六本木の新国立美術館で9月16日まで開催されています。
水平垂直を意識すること、ピントが全体的にあっていること、
広角のフレームで風景を切り取っていることなど、
建築写真的な要素もあるように思いました。
そして、その余韻に浸りながら、レストランへ・・・
黒川紀章が晩年に設計した建物ですが、
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光る壁面と人のシルエットが絵になりますね。
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3階の逆円錐の上が「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ 
フランス料理店の最高峰「ポール・ボキューズ」のオーナーシェフ、
ポール・ボキューズ氏が手がけるお手軽価格のブラッスリーです。
夜は美術館も閉館しているので、静かなひとときが過ごせます。

戸恒浩人@JIA建築セミナー

僕が実行委員を勤めているJIA建築セミナーに、
戸恒浩人さんをお呼びして講演をして頂きました。
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建築家協会のホールで、照明デザインという視点ではなく、
「グローバルに活躍する」というカテゴリーで話して頂きました。
講演の終わりの質問はいつもはあまりないのですが、
今回はかなり多く、濃密なレクチャーだったように思いました。
戸恒さんとはLPA在籍時からの付き合いになりますが、
今までに聞いてなかったことも意外と多く、
個人的にも新鮮な、面白いお話が聞けて良かったです。

遠山記念館に行ってきました。

日興證券の創立者・遠山元一がお母様のために建てた邸宅が、
川越にほど近い、川島町に遠山記念館として公開されています。
今回は新木場、原木組合の方々と見学に行ってきました。
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建築史家の松本裕介さん(一番左側)には建築意匠について、
伊勢戸銘木店社長の伊勢戸正也さん(一番右側)には、
木の専門家としての解説して頂きました。
この門だけで数十分の解説。奥の深さを感じました(笑)。
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昭和11年に竣工した邸宅が、ほとんど増改築されないで、
そのまま保存されている昭和を代表する貴重な邸宅だそうです。
こちらの東棟は生家を再興したことを象徴する豪農風。
中棟は貴顕の来客を接待するための格式のある書院造り、
西棟は母のために数寄屋造りの座敷があります。
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こちらは普段は非公開の2階の応接室。
特別に拝見させて頂きました。
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一枚板からつくったこのような扉や、
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竹でつくった細い桟の障子など、工芸品のようなもので溢れています。
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こちらは3つある茶室のひとつ。
墨差し天王寺という濃淡模様がでた土壁、
東と南に1間半の開口をもうけて、
庭の景色を呼び込むという個性的な座敷です。
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こちらは続き間の広間です。
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この縁側で、吉田茂と囲碁をしながら、
日本の行く末について度々語り合っていたとのこと。
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貴重な体験をさせていただいて、大満足で敷地を出ると、
門の外の塀沿いに美しい蓮が・・・・
その良さがわかるようになったということは、歳をとったのかな?(笑)。

レーモンドの新スタジオ@軽井沢

東京は例年以上に暑い日が続きますね。
ということで、避暑も兼ねて軽井沢に行ってきました。
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こちらはdocomomoにも選ばれている「軽井沢の新スタジオ」。
アントニン・レーモンドが晩年に設計した建物です。
以前から、見学させて頂きたかった建物ですが、
念願かなって、今回初めて拝見させて頂きました。
レーモンド事務所の元所員だった北澤興一さんが所有されています。
ちょうど茅葺き屋根が使えない法規ができた1962年の竣工で、
ガルバリュウーム鋼板を茅の下に敷いて許可が降ろしたそうです。
茅は一度やり変えたそうですが、やはり少し無理があるそうで、
やむなく数年前に茅をとってしまったそうです。
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不思議な形をした屋根のトップは、暖炉の火が茅に移らないように、
曲った部分に雨水がたまるようになっているとのこと。
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よりによってこの大事な時に、、、、、
カメラが壊れてしまいました。特に広角側が・・・・最悪!
でも、空間は最高でした。
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中心の暖炉は構造体になっていて、
その上部に細い丸太が架かっています。
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スパンがとんでいるからと言って太い材を使うのは野暮とのこと。
確かに、その組み合わせ方がとても美しいです。
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壁がラーチ合板。レーモンドは好んで使ったそうです。
安くて丈夫で、枠材もラーチにすると一体感を増し、
経年変化で色が美しく濃くなるのが好きだったようです。
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いぐさの縄で編んだ椅子は長持ちするそうです。
家具はすべてレーモンドの作品です。
ピントがボケていますが、
左から北澤さんと建築家と宮さん、阿部勤さん。
レーモンドが設計した住宅には、
他のデザイナーの家具は一切置かせなかったとのこと。
時々、自分が設計した住宅に行って、自分が設計したもの以外は、
所員にすべて外に出すように指示を出していたらしい(汗)。
さすが、巨匠です!
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奥の主寝室の天井は、とても複雑な接合になっています。
いろいろと質問するさせていただくと、
北澤さんにとってもお気に入りのところだそうで、
熱く接合部について語っていただきました。
緑の中の佇まい、架構、簡素なインテリアなど、
50年の時を超えた素晴らしい建築でした。