ムーラッツァロ島に建築家アルヴァ・アアルトの別荘があります。
ユバスキュラから20km、セイナッツァロから4kmの所にある小さな島で、
今でこそ橋がかかっていますが、以前はすべてボートでの移動。
サマーハウスとボートの文化は、教養ある階級の生活には重要だったようです。
アアルトが隣町のセイナッツァロの町役場の設計していた頃、
先妻のアノイが他界し、その後エリッサと結婚。この別荘を建てました。
この別荘は水面から隆起した岩の上に建っています。
まわりに美しい湖と森林がありながら、中庭を囲んだプランとして、
湖の見える方角にだけ壁が開かれています。
中庭は50種類の赤レンガのパッチワークで、外周部は白く塗られています。
白い石灰で塗られた外周部の壁は湖の方向のみが開かれています。
リビングから中庭越しに見た湖。
中庭中央部には炉をつくり、火をおこして暖をとったり、
バーベキューをしたりできるようになっています。
壁の一部を切り取り、風景を切りとりたいという意思と、
炉を中心に囲みたいという意思を感じます。
「囲む」というコンセプトはわかりますが、
壁の向こう側にはあまりに素晴らしい湖が広がっているので、
無理に囲まなくても良かったような気もしてきますが・・・・
正方形の中庭を囲むようにL形の建物が配置されています。
床は赤レンガのパッチワーク。
壁も赤レンガのパッチワークです。
アメリカのMIT学生寮ベーカーハウス、セイナッツァロの町役場、
ヘルシンキ工科大学、ユバスキュラ大学、文化の家など、
その当時のアアルトの作品の外壁は赤レンガが使われていますが、
この中庭では約50種類の赤レンガが実験的に使われています。
こちらがリビングの内観。
ここから中庭越しに湖を望むことができます。
細い木材を組み合わせたシンプルな架構です。
現在もアアルトの子孫が別荘として利用していますが、
月水金の13時半から2時間だけ見学が可能(要予約)。
こちらはサウナ。サウナのあとは目の前の湖へ。
フィンランドらしいですね。
こちらはボート小屋。
この島には橋がなかったので、以前は移動はすべてボートだったようです。
日本人の感覚からするととても贅沢に思えますが、
北欧のあちこちでこのような風景を見かけました。
Category: 2008 Finland・Stockholm
2008 フィンランド・ストックフォルム
北欧32 / フィンランドの車窓
フィンランドは「森と湖の国」。
どこまでも、どこまでも、森と湖です。
車窓からの風景は、ずっとこんな感じです。
特急列車の車内は奇麗で、とても快適。
北欧31 / 北欧の照明
北欧の冬は寒くて、夜が長い。
そのような気候風土が北欧の照明デザインを生んだのでしょう。
北欧の観光は日が長い夏がベストシーズンかもしれませんが、
夜の長い冬もきっと素晴らしいことでしょう。
最近、日本人の照明に対する意識は高くなってきたと思いますが、
北欧に限らず欧州のパブリックスペースの照明は素晴らしいものが多く、
まだまだ学ぶべきところがたくさんあります。
写真はフィンランドのユバスキュラ駅の照明。
駅の天井の高い空間をアッパーライトで反射板に当て、
その反射光で床の照度をとっています。
まわりが明るいのでいまひとつその効果はわかりにくいですが・・・
北欧30 / セイナッツァロ・タウンホール
ユバスキュラ駅からバスで30分程の所にある工業都市、セイナッツァロは、
町役場の周りに数件の建物があるくらいのとても小さな街ですが、
この町役場が世界中の建築家の巡礼地のひとつ、アアルトの最高傑作です。
日本から見に行こうと思うと、本当に遠い。。。
建築は絵画と違って日本にはやってこないので、こちらか行くしかないのです。
バス停を降りると目の前に、木々の向こうにひっそりと建っています。
思わず足早になってしまいます。
奇抜な形態をしているわけではないので写真ではその良さは伝わりにくいですが、
実際に行ってみると名作の良さが随所に感じられました。
1949年にアアルトの勧めでコンペが行なわれましたが、
偽名の「クレア」で応募したアアルトが、結局1等になり、
敷地の高低差を生かし、中庭を設けた赤レンガの名建築が生まれました。
現地に他の案も展示されていましたが、ダントツの1等だと改めて思いました。
木々越しに見える全景。時代を越えて愛される名建築。
中庭に続く緑で覆われた階段。
もうひとつの花崗岩の階段。この階段を上ると中庭に出ます。
中庭に面して明るい回廊があり、その外側に行政機能の諸室があります。
中庭にこんなものがありました。
中庭に面した回廊。
勿論、ドアハンドルもきちんとデザインされています。
上階の会議室にのぼる階段。
会議室の天井。写真では残念ながら暗くて良く分かりませんね。
北欧29 / ユバスキュラ大学
ヘルシンキ朝6時30分発の特急に乗り3時間でユバスキュラに到着。
ユバスキュラはアルヴァ・アアルトが育った街であり、最初に事務所を開いた街。
そんなこともあって、この街にはアアルトの作品がたくさんあります。
しかしながら、ヘルシンキにその日中に帰らねばならないハードスケジュール。
ユバスキュラから少し離れた所にあるアアルトの代表作、
セイナッツァロタウンホール、ムーラッツァロの実験住宅「夏の家」
を見るのが今回の最大の目的であったので、
セイナッツァロに行く途中にあるユバスキュラ大学にだけ立ち寄りました。
こちらもアアルトの作品で、特に食堂が有名です。
食堂の素朴で、かつ美しい屋根の木架構。
左側が中庭に面した大きな開口、右側にハイサイドライト。
ハイサイドライトからの光が屋根面を照らしています。
こちらの食堂で朝食(早い昼食?)を頂きました。
物価の高い北欧ですが、学食はリーズナブル(5.2ユーロ)。
皿に載る範囲なら食べ放題なので、山盛です。
食堂の外観(ハイサイドライト側)です。
食堂の中庭。
北欧28 / キアズマ
ヘルシンキ駅のすぐそばにある現代美術館「キアズマ」。
北欧7カ国の建築家と世界の著名建築家による公開コンペが行われ、
アメリカの建築家、スティーブン・ホールが1等に選ばれたそうです。
スティーブン・ホールは僕の好きな建築家の一人で、
一昨年はアメリカでセントイグナチウス、ベルビュー美術館を見ました。
光の魔術師が作り出す素晴らしい空間です。
エントランスの反対の「フィンランディアホール」側から見た外観。
左側が駅、右側は道路を挟んで国立博物館があります。
緩くカーブした美しいフォルムをもつボリュームと、
やや高さを抑えた直方体のボリュームとの組み合わせは、
この敷地条件にとてもしっくりきます。
ヘルシンキ駅側は金属屋根で覆われてゆるくカーブしています。
トップライトの突起物がかわいらしいですね。
エントランスからスロープで上部の展示室に上がっていく。
パースペクティブな緩くカーブした曲線、
杉板型枠コンクリートを着色した壁面の素材感とトップライトに光など、
とても美しい空間でした。
展示スペースもスロープで緩く連続しています。
展示スペース。
スチーブンホールらしい独特な開口部が随所に設けられています。
最近、世界中のどこの美術館もレストランに力を入れているように思います。
こちらのカフェも広場に面した明るくさわやかなインテリア。
ランチはとてもお得感があり、味もなかなかでした。
夕方になると、美術館前の芝生の広場はビールを持ち込む若者たちで一杯。
白夜の夜は長く、短い夏を満喫しているご様子。
北欧27 / 白夜のヘルシンキ
北欧の冬は夜がとても長いが、
夏は「白夜」で12時頃(?)でも薄暗いといった感じ。
ところで、路面電車はなぜか絵になります。しかも、とても便利。
日本にも広島、富山、京都などなどでも走っているところあると思うが、
東京は荒川線以外はなくなってしまったのがとても残念。
交通渋滞が主な理由だと思うが、もう一度再考すべきことのように思う。
この写真は確か10時半頃。白夜のヘルシンキはいつまでも暗くならない。
北欧26 / 文化の家
こちらもアアルトの作品で、外壁のレンガに特徴がある。
フィンランドの共産党の建物「ヘルシンキ文化の家」としてつくられたが、
その後、建物は売却されてラジオ交響楽団と美術館局建築史部となっている。
残念ながら休館日で、中には入れなかった。
外観の全景。
特殊レンガのディテール。
角がないだけでなんとなく印象が変わって見えます。
レンガも奥が深いですね。
北欧25 / シーフォース
ドル、ユーロが暴落している今となっては、
昨年の夏はなんだったのでしょう?と言いたくなる。
私たちが北欧旅行していた頃がユーロの史上最高値だったのではないだろうか?
1ユーロ170円くらい、今は115円だから、
今行けば半年前の約7掛けで行けてしまうと思うと悔しい。。
円安でなくてももともと北欧は物価が高いので、
どうしても食事の質、量ともに落ちてしまう。
そんな中で、安くて量が多くて食べきれなかったお店。
予約しないで行ったら入れなくて、別の日に予約して再度訪問。
味もおいしく、北欧の料理を満喫。
友人に紹介してもらったシーフォースというお店。
中心部からトラムで移動しなけらばいけないが、
街が小さくあっという間につく距離。
フィンランドの定番料理「サーモンのクリームスープ」。
サーモンと大きなじゃがいもがたっぷり入っている。
ハーブも効いていてとても美味しい。
日本人にしては特に目新しい味ではないが、
こちらもフィンランドの定番料理の「ニシンのフライ」。
バルト海の新鮮なニシンのフライが何層にもにも重なっていて、
食べても食べてもなくならず、旅行中初めて残してしまった。
北欧24 / フィンランディアホール
アアルトの晩年の作品、フィンランディアホール。
コンサートホールと大会議場からなる建物。
こけら落としはシベリウスの「フィンランディア」が演奏されたそうだ。
毎週土曜日にガイドツアーがあり、それに参加した。
アアルトのスタジオ、自邸、夏の家などもガイドツアー(英語)があって、
名建築がきちんと観光のために使われている印象を受ける。
参加している人はやはりヨーロッパの人が多く、専門家に限らず家族連れもいる。
その時間にあわせて行動するので、
あちこちの建物で当然同じ人に会うことになる。
外壁はイタリア産大理石のビアンコ・カラーラ。
アアルトがイタリア旅行をした時に大変気に入り、
どうしてもこれを使いたく使ったそうだが、
ヘルシンキの寒さが厳しくて割れてしまったそうだ。
芝生の上に置かれているオブジェ(円柱状のもの)は、
その割れた石を集めてつくったもので、
日本人アーティストの作品のようです。
やはり気候にあった素材を使うのが基本なのではないでしょうか。
その問題の大理石のアップ写真です。
こちらが内観。
紺青の部分は木製音響壁。
北欧23 / ヘルシンキ工科大学
アアルトの代表作のひとつであるヘルシンキ工科大学は、
アアルトのスタジオや自邸から海を隔てたオタニエミにある。
ヘルシンキ中心部を経由しないでショートカットすることで、
学校が閉まる前にギリギリ入ることができた。
白夜といっても、北欧はどこも閉まるのが早い。
ところで、今さら言うまでもないが、インターネットの普及により、
旅行に行く前に世界中の詳しい情報を得ることができる。
各地の観光案内所にメールで質問したり、
日本のNAVITIMEなどと同じようなサービスがある上、
バス乗り場や時刻表などもネットですべて入手可能でとても便利だ。
逆にあまりにも効率良くまわれ過ぎるため、
ある意味でツアーのようなものになってしまう恐れがあるくらいだ。
私たちが学生の頃は、多くの建築学科の学生と同様、
ほとんど情報もなく数か月間放浪していたのが今となっては不思議だが、
そんな無駄の多い旅が非常に有意義だったとつくづく思う。
ヘルシンキ工科大学の定番のカットは、やはりこちらでしょう。
メインオーディトリアムの外部は野外円形劇場となっている。
昔の雑誌などにはフィンランド工科大学と書いてあるので、
大学の名前が変更したのでしょうか?
こちらがメインオーディトリアムの内部空間のお決まりのカット。
間接光が美しい。
北欧22 / アカデミア書店
ヘルシンキの中心部にあるアカデミア書店はアルヴァ・アアルトの設計。
注意していないと通り過ぎてしまう店構え。2階にはカフェもある。
デザインされたトップライトから3層下の1階まで光が届く。
シンプルなつくりだが、少しづつ吹抜けがずれている開放的で快適な本屋さん。
2階にはカフェ・アアルトがある。
アルネ・ヤコブセンのアントチェアが置かれている。
ヘルシンキが舞台となった映画「かもめ食堂」で、
主人公が「ガッチャマンの歌詞知りませんか?」と日本人に訪ねた場面で、
ここの場所が使われている。
そのためだと思うが日本人の女性(しかも一人)が多い。
ちなみに「かもめ食堂」の舞台となったカフェは、
カフェヴィラ・スミオという店名で営業している。
時間がなくて残念ながらそちらに行けなかったが、
おそらく日本人がたくさんいることでしょう。
北欧21/Klaus K(クラウス・コー)
ヘルシンキで泊まったホテルはKlaus K(クラウス・コー)。
こちらはヘルシンキのデザインホテルとしては最も有名(らしい)。
フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を独自に解釈したインテリアとのことだが、
その「カレワラ」を知らない私たちにとっては、
コンセプトとデザインの関係は当然わからなかった。
デザインホテルの利用者は若年層が一般的には多いイメージがある中、
こちらは温かみのあるインテリアのせいかご年配の方も結構泊まっていた。
北欧は週末割引がある上、こちらは早期予約割引もあったので、
比較的にリーズナブルに泊まることができた。
客室はしっかり色のついたインパクトのあるデザイン。
大きなヘッドボードに寄りかかると案外快適。
レセプションは真白のオブジェのようなカウンター。
カウンター上部の照明。
安い材料を使って、なかなかセンスの良いデザインです。
朝食はこちらのカフェで。
北欧20/ミュールマキ教会
ヘルシンキから電車で数十分のところにあるミュールマキ教会。
設計はユハ・レイヴィスカ。
この教会は建築家の間でとても人気のある教会だ。
間接光を取り入れる光の扱い方はきわめて北欧的。
とても美しい写真が撮れる空間だが、実際に行くと写真以上の感動はない。
それは真白の空間で、素材の持つパワーがないからだろうか?
夕方行くと、すでに閉まっていたが、
「日本からこの教会を観るためにはるばる来た。」と、
お決まりのことを管理人に言って、無理やり開けていただいた。
東側(写真右)から光が入る午前中にもう一度見てたいと思い、
日曜日の午前中にもう一度行ってみた。
祭壇は何枚の壁で構成されている。
重なり合った壁の隙間から光が差し込み、とても幻想的。
木々に面した開口部が多い東側の外観。
北側から見た西側の外壁。
何枚もの壁が重なりあっている様子がわかる。
電車のプラットホームからも見える。
祭壇のある西側の開口が少ないのはうなづける。
北欧19/ヴォクセンニスカ教会
ヘルシンキから特急で3時間のところにイマトラという街がある。
ロシアとの国境がすぐという辺境の地にある、小さな工業都市だ。
そこからさらにバスに数十分乗って向かったのは、
アアルトの代表作のひとつとされる「ヴォクセンニスカ教会」だ。
祭壇に3つの十字架があり、正式名称は「3つの十字架の教会」。
ヘルシンキから一日がかりで、苦労して行ったわりには、
いまひとつ感動がなかったのが残念。
祭壇には3つの十字架がある。
天候が悪く、室内はとても暗いが、祭壇の横から差し込む淡い光が美しい。
このパイプオルガンの音はいいらいしい。
この教会の特徴のひとつは、
クラブ室、教区ホール、実際の教会室という3つの教会ホールが連続し、
必要であれば分離できるようになっていていることだ。
可動式の間仕切りは電動モーターで動くそうだ。
最後列からのカット。
祭壇がある北西の端のホールが、実際の聖域。
総計800席以上もある。
雨の中で撮影したいまひとつな印象の外観。
晴れた青い空で、木々が鮮やかな緑がだったら印象が違ったことでしょう。
3つに分割できる内部空間が外観にも現れています。
北欧18/オタニエミチャペル
ヘルシンキ郊外のオタニエミにアアルトの設計したフィンランド工科大学があり、
その中に小さな礼拝堂がある。
1957年に竣工。設計はレイッキ&カイヤ・シレン夫妻。
安藤忠雄さんが設計した「水の教会」を設計するにあたって、
このオタニエミチャペルを参考にしたと言われている。
祭壇のガラス越しに緑の中に十字架が見える。
自然と一体となった素晴らしい祈りの空間。
「水の教会」の場合は水の中に十字架がある。
木の架構が美しいが、
後ろのハイサイドからの光が強く、祭壇のガラスに映りこむのが気になる。
なぜ、そこにそんなに大きな窓をつけたんでしょうね?
前庭越しに礼拝堂を見る。
大きなガラスは、礼拝堂の後方のハイサイドのもの。
夏を除くほとんどの季節は、北欧は太陽高度が低いため、
周りの木々で直射日光が入らないのかもしれません。
前庭。
塀のディテール。このラフな感じが良いですね。
北欧17/テンペリアウキオ教会
気がつくと街はすっかりクリスマス一色です。
サンタクロースと言えばフィンランドということで、再び北欧旅行ネタです。
フィンランドの教会をいくつか紹介しましょう。
まずは、ヘルシンキの中心部にあるテンペリアウキオ教会。
こちらは岩盤を掘ってつくられた珍しい教会。
単純明快なつくりが素晴らしく、特に天井は圧巻です。
竣工は1969年。設計者はティモ&トゥオモ・スオモライネン兄弟。
岩盤を掘ってつくられた教会です。
天井は圧巻です。
こちらが天井のディテール。
ほとんどが岩盤に埋まっていて、天井の180枚の窓ガラスから光が差しみます。
週末は分刻みで、たくさんの結婚式が行われていました。
上部はこんな感じになっています。
北欧16/アアルトハウス
アアルトのスタジオから歩いてすぐの所に自邸がある。
アアルトは最初はユバスキュラという小さな街で設計事務所をはじめ、
その後、トゥルクに移転し、そして、ヘルシンキ郊外のこの場所に、
自宅兼事務所をつくり、仕事場が手狭になりスタジオを建てた。
メインエントランス。
木の部分が住宅エリアで、レンガに漆喰を塗った部分が事務所エリア。
この当時のアアルトの定番、レンガに漆喰の仕上げ。
漆喰は経年変化して味のある表情を醸し出す。
住宅エリアの外装に使われている細い木板は、
アアルトの代表作の一つ「マイレア邸」の外装とほぼ同じです。
2階のテラスからは、建設当時は海が見えたそうですが、
今は住宅が建ち並び、海を見ることはできません。
なかなか快適そうな仕事場です。
北欧15/アアルトスタジオ
ヘルシンキの郊外にアアルトのスタジオがある。
建築家の巨匠アルヴァ・アアルトは、フィンランドの英雄でもあり、
以前、フィンランドのお札になっていたことがある程だ。
そのようなアアルトがどんなところで仕事をしていたのか興味があった。
建物の全体が白いので、晴れていると空が青く、光りが差し込み、
その白さが引き立つと思いつつ、
訪れた日は残念ながら天候があまり良くなかった。
しかしながら、コルビジェのサヴォア邸のように、
建物全体の印象が天候にあまり左右されないような気がした。
それは、北欧的な採光にも影響があるとは思うが、
素材の持つ力と洗練されたディテールがあるからだとも思う。
外装はレンガに漆喰を塗っている。
仕事場の天井は片流れで、杉板(?)型枠コンクリートに塗装。
両側にハイサイドライトが設けられ、適度な明るさが確保されいる。
こんな職場だと素晴らしい案が浮かびそう。
ラウンジは中庭に面して、天井を高くとっている。
内装は白で統一されているが、いろいろな素材が使われている。
写真ではその良さが伝わらないのが残念。
ラウンジの中庭側は緩くカーブしている。
北欧14/カレヴァ大聖堂
早朝、トゥルク港に到着後、足早に二つの教会を見学し、
午後一で特急に乗り込んでタンペレに移動。
このようなハードスケジュールになってしまったのは、
この教会がどうしても見たかったからだ。
アアルトの「夏の家」「ユヴァスキュラ大学」「自邸」など、
見学できる日時が決まっているものが多く、
少し無理をしないと効率良いスケジュールが難しい。
旅先で会った日本人も、やはり同じようなこと言っていました。
ところで、カレヴァ大聖堂はライリ&レイマ・ピエティラの設計。
何枚ものコンクリートの壁が天に向かってそびえ立ち、
その隙間から光が差し込むという単純かつ明快な建築。
今までに体感したことのないその物質感に圧倒され、
素材の持つパワーを改めて再認識させられました。
天にそびえ立つコンクリートの壁は圧巻です。
時々刻々と光が変化して、内部空間の表情も変わります。
天井です。
北欧13/タンペレ市立図書館
久しぶりに北欧ネタ。
気が向いた時に思い出したように北欧ネタを書いていますが、
時々「また北欧に行ったんだね」とか、
「随分長いこと行っていたね」とか言われ、
誤解を招いているようです(笑)。
久しぶりの北欧ネタは、タンペレ市立図書館から。
フィンランドの建築家、ピエティラの設計です。
雷鳥をモチーフにした斬新なデザインで、内部空間は有機的。
フィンランドと言えば、森と湖に覆われた豊かな自然、
そしてそこに住むサンタクロースとムーミン。
この図書館の地下はムーミン谷(ムーミン博物館)で、
世界中の旅行者は普通はそちらに行くようです。
北欧12/トゥルク マッティ・サナクセンアホ
トゥルクにはブリュックマンの礼拝堂があり、
近郊にはアアルトのデビュー作、パイミオのサナトリウムがある。
しかし、私たちがこの街を訪れたかったのは、
数年前にできたばかりのある木造の礼拝堂を見たかったからだ。
その名前は、聖ヘンリー・エキュメニカル礼拝堂。
マッティ・サナクセンアホという私たちと同世代の若い建築家の設計だ。
どちらの名前も日本人には難しくて覚えられない(笑)。
あまり知られていないが、「a+u」の2006年8月号で紹介されている。
トゥルクからさらにバスで30分ほどの辺境の地にあり、
バスの本数はわずかで、乗っている人もほとんどいない。
礼拝堂は松林の丘の上に立っていた。
銅板で覆われた外装はうつ伏せにした船のようでもあり、魚のようでもある。
躯体は松の集成材を曲げたリブで構成されており、室内の壁は無塗装の板張り。
経年変化で外装の銅板は緑青を吹き、室内の板は赤みを帯びてくることだろう。
幻想的な北欧的な空間。
木造にも新たな可能性があることを痛感させられた。
銅板で覆われた外装はうつ伏せにした船のようでもあり、魚のようでもある。
祭壇側の外観。
祭壇際の開口からの光が、祭壇壁を美しく照らす。
このガラスはハンヌ・コノラという作家の作品らしい。
北欧11/トゥルク ブリュックマンの礼拝堂
ストックホルムからの船は、朝8時頃、トゥルク港に到着。
午後にはタンペレへ移動する予定だったので、
急いでエリック・ブリュックマンが設計したキリスト復活の礼拝堂へ。
フィンランドには素晴らしい教会がたくさんある。
イタリア、スペインなどの教会とは違い、
比較的新しい自然と調和した現代建築が多い。
北欧の建築は自然との調和が素晴らしい。
木立の向こう側に建築が見えてくるというのが北欧流(?)
切妻屋根の塗壁。シンプルな家型の外観は普遍的。
エントランスのアイアンワークの扉。
正面が祭壇。側面から木漏れ日が入り込む。
北欧10/白夜の船旅 ヴァイキングライン
スウェーデンからフィンランンドまでは船で移動した。
ストックホルム―ヘルシンキは豪華客船が毎日定期運行されている。
シリヤラインとヴァイキングラインの2社があり、
特に、シリヤラインはかなり大きく豪華な船らしい。
私たちは、ヘルシンキではなくトゥルクという街に行きたかったので、
ヴァイキングラインの少しだけ小ぶりの船に乗ることにした。
夜8時にストックホルムを出港、トゥルクには朝7時半に到着。
天候はあまり良くなかったが、白夜の風景は素晴らしかった。
レストランやお店などもあり、なかなか快適な船旅だった。
船の先端からたくさんの車が載せられていた。
船後方部。とても大きな船です。
夜だというのに昼のような風景。
小さな島がたくさんあります。
その島々には数軒、場合によっては1軒の別荘(?)が・・・・・
つまり、自家用の船で移動しているということですね。
北欧09/ストックホルム ノルディック・ライト・ホテル
ストックホルム中央駅に隣接するノルディック・ライト・ホテルに泊まった。
俗にデザインホテルと言われるカテゴリーに属するホテルで、
ストックホルムにいくつかある中でここが代表格。
名前の通り、光にこだわったホテルで、
ロビーから客室まで涼しげな照明で演出されている。
ウェブの写真で見るとそれなりだが、実際はやや安っぽい印象を受けた。
北欧は夏と週末の割引があり、早期に予約すればさらにリーズナブル。
とは言うものの、やっぱり北欧の物価は高い!!
フロント。サービスはなかなか良かった。
暖炉のあるロビーの一角。
朝食はこのカフェで。朝として、ちょっとムーディー過ぎかも(?)
部屋からの眺め。
北欧08/ストックホルム 現代美術館
スペインの建築家、ラファエル・モネオ設計の現代美術館。
中心街から少し離れた小さな島、シェップスホルメン島にあり、
対岸に古い街並みが拡がる水辺の風景が美しい。
隣接して元海軍の訓練所を改装した建築博物館がある。
エントランスから見た外観
レストランは水辺の風景が楽しめる。
天気が良かったので、テラス席でランチを食べました。
物価の高い北欧にしては、比較的にリーズナブル。
味もなかなか良かったです。
北欧07/コンクリート型枠
北欧の大地はほとんどが森林と言っても過言ではない。
そのためかもしれないが、コンクリート型枠は日本のように合板ではなく、
製材された木がいたるところで使われているようだ。
見かけた工事現場では、支保工などもすべて木材が使用されていた。
どこにでもある立体交差の高架下。
日本人の感覚からすると杉板型枠のようなちょっとリッチ(?)な素材感。
北欧06/ストックホルム エリックス・ゴンドーレン
地下鉄スラッセン駅上部のバスターミナルから立ち上がるエレベータ。
ビル屋上に連結されており、そのレベルでビルの裏の丘に連続している。
つまり、垂直方向の公共交通とも言える乗り物(?)で、
上りはわずかながらお金がかかり、下りはなぜかタダ。
上部には市内を一望できるレストランがある。
屋上は展望台。その下の室内部分はレストラン。
海を挟んだ旧市街からの風景。
展望台から旧市街方面を望める。
残念ながら天気が悪くてイマイチだ。
北欧05/ストックホルム 地下鉄
ストックホルム市内のあちこちで岩盤を見かけた。
岩盤の上に都市が築かれているのだろうか?
地下鉄も岩盤をくり抜いてつくられれているように感じた。
素晴らしいペインティングがされている駅があった。
プラットフォームまで続いている。
北欧04/ストックホルム ガムラスタン
ストックホルム中央駅から南に少し歩くと旧市街地があります。
そこはガムラスタンという地区で、ヨーロッパによくある風景?
観光客でいっぱいですが、絵になる風景はむしろ人通りの少ない路地。
人通りの少ない石畳の町並み。
日本人はこういう風景に弱いですね。
幅60㎝しかない細い路地。
見上げの風景。
設計している建物にはこういう照明を選びませんが、なかなかいいものです。