ユバスキュラ駅からバスで30分程の所にある工業都市、セイナッツァロは、
町役場の周りに数件の建物があるくらいのとても小さな街ですが、
この町役場が世界中の建築家の巡礼地のひとつ、アアルトの最高傑作です。
日本から見に行こうと思うと、本当に遠い。。。
建築は絵画と違って日本にはやってこないので、こちらか行くしかないのです。
バス停を降りると目の前に、木々の向こうにひっそりと建っています。
思わず足早になってしまいます。
奇抜な形態をしているわけではないので写真ではその良さは伝わりにくいですが、
実際に行ってみると名作の良さが随所に感じられました。
1949年にアアルトの勧めでコンペが行なわれましたが、
偽名の「クレア」で応募したアアルトが、結局1等になり、
敷地の高低差を生かし、中庭を設けた赤レンガの名建築が生まれました。
現地に他の案も展示されていましたが、ダントツの1等だと改めて思いました。
木々越しに見える全景。時代を越えて愛される名建築。
中庭に続く緑で覆われた階段。
もうひとつの花崗岩の階段。この階段を上ると中庭に出ます。
中庭に面して明るい回廊があり、その外側に行政機能の諸室があります。
中庭にこんなものがありました。
中庭に面した回廊。
勿論、ドアハンドルもきちんとデザインされています。
上階の会議室にのぼる階段。
会議室の天井。写真では残念ながら暗くて良く分かりませんね。
タグ: 北欧
北欧28 / キアズマ
ヘルシンキ駅のすぐそばにある現代美術館「キアズマ」。
北欧7カ国の建築家と世界の著名建築家による公開コンペが行われ、
アメリカの建築家、スティーブン・ホールが1等に選ばれたそうです。
スティーブン・ホールは僕の好きな建築家の一人で、
一昨年はアメリカでセントイグナチウス、ベルビュー美術館を見ました。
光の魔術師が作り出す素晴らしい空間です。
エントランスの反対の「フィンランディアホール」側から見た外観。
左側が駅、右側は道路を挟んで国立博物館があります。
緩くカーブした美しいフォルムをもつボリュームと、
やや高さを抑えた直方体のボリュームとの組み合わせは、
この敷地条件にとてもしっくりきます。
ヘルシンキ駅側は金属屋根で覆われてゆるくカーブしています。
トップライトの突起物がかわいらしいですね。
エントランスからスロープで上部の展示室に上がっていく。
パースペクティブな緩くカーブした曲線、
杉板型枠コンクリートを着色した壁面の素材感とトップライトに光など、
とても美しい空間でした。
展示スペースもスロープで緩く連続しています。
展示スペース。
スチーブンホールらしい独特な開口部が随所に設けられています。
最近、世界中のどこの美術館もレストランに力を入れているように思います。
こちらのカフェも広場に面した明るくさわやかなインテリア。
ランチはとてもお得感があり、味もなかなかでした。
夕方になると、美術館前の芝生の広場はビールを持ち込む若者たちで一杯。
白夜の夜は長く、短い夏を満喫しているご様子。