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久しぶりの建築探訪@大分

中津での法要の後、三密を避けて車で足早に大分県内の建築を見て回りました。
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中津から耶馬渓を経由して、龍岩寺奥院の投入堂へ。投入堂と言えば、国宝にもなっている鳥取の三徳山三佛寺が有名ですが、こちらはほとんど知られていないのではないでしょうか?
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こちらは三徳山三佛寺に比べると遥かに道のりが楽で、少々拍子抜けしました。
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しかも、近寄れるだけでなく、
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中に入れたのには驚きました!誰もいないところで静かに拝観できました。
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その後、別府を経由して大分市内へ。
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大分と言えば、磯崎新の旧大分県立図書館。

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docomomoにも選ばれていながらも、一時は解体の危機にあった磯崎さんの初期の名作。
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どこから見ても力強い外観です!
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現在はアートプラザという名に変えて、美術館として使われています。
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以前、図書館だったとは全く思わせないダイナミックな内部空間です。
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そこから少し内陸に入って、藤森さんのラムネ温泉に。インスタ映えすると建築とは無縁の一般の方々にもとても人気のある藤森建築。改めて訪ねてみると、やっぱり和みます。なるほど、建築的にもとても良いです。
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そして、杵築にも立ち寄りました。こちらは塩屋の坂から酢屋の坂を見た風景。
またコロナが落ち着いたら、ゆっくりと旅行したいものですね。。。

筑紫亭と風の丘葬斎場@中津

父の四十九日の法要で大分県の中津市に行ってきました。
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法要を終えた後、近くの老舗料亭、筑紫亭へ。こちらは大正時代の中津が栄えていた頃の面影を残す建物で、主屋と離れと塀は国の有形文化財に登録されています。
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手入れの行き届いた庭を抜けて玄関へ。
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玄関を振り返ると・・・美しいですね。
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中に入ると、また庭があります。
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2階にもたくさんの部屋がありますが、こんな時期なので客は僕らだけで貸し切りです。ゆらゆらとした吹きガラスが時代を感じさせます。
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三密を避けて広々としたお部屋に少人数で、中津名物のはも料理をいただきました。
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貸し切りということで、全ての部屋を女将さんに案内していただきました。こちらは、主屋と離れをつなぐ廊下。
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離れは庭に点在する数寄屋建築。
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このような廊下で繋がっています。
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なかなか凝ったディテールですね。
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このような建物と庭を維持するのは東京でも大変のことですが、人口10万人にも満たない地方都市の中津ではとても大変なことだと思って女将さんお聞きすると、海外や日本各地から筑紫亭を目当てに来ていただいているのでなんとか続けれられているとこと。
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一番奥のお座敷、竹の間の床。
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すべての部屋はそれぞれ異なった設えになっています。とても素晴らしい建物の中で、美味しい食事をいただくことができ、とても満足。その後、八面山のこがね山荘へ行く途中、「風の丘葬斎場」に立ち寄りました。
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「風の丘葬斎場」は、20年ほど前に竣工した、槇さんの名作。
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コロナ禍ということで、中に入ることはできませんでしたが、エントランス周りと庭を散策させていただきました。
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建物と庭の境界がなく、
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緩やかな傾斜した大地に呼応するような佇まいです。
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歩いていくと風景が、少しずつ変わっていきます。
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歩いているだけで心が安らぎます。そう言った意味でも、やはり素晴らしい建築ですね。ふと、ストックホルムの森の墓地を思い出しました。

村野藤吾の遺作「三養荘」に泊まる

伊豆長岡の三養荘に行ってきました。
建築界では誰もが巨匠と認める建築家の村野藤吾。世界平和記念聖堂や日生劇場などたくさんの名作があるものの、丹下健三などと比べて一般の方にはあまり知られていないのではないでしょうか?村野藤吾は近代建築の王道とは距離をとっていたので、今となっては歴史上の大きな文脈に乗らないので存在感があまりないのでしょうね。個人的には吉田五十八、堀口捨己と並ぶ近代以降の日本建築を設計する建築家として大変興味があり、三養荘は前々から見学したいと思っていました。
京都の「桂水園」やニューオータニの庭園内にある「なだ万本店山茶花荘」など村野藤吾が設計した作品にこれまでに泊まったり、食事をしたりしてきましたが、三養荘はそれらより敷居が高いイメージあったので、後回し(?)となっていました。今回は親の長寿のお祝いということで奮発!こんな機会ですから一番良い部屋を予約しました。
敷地面積は約42,000坪、東京ドーム3個分と広大。3000坪の広大な庭は7代目小川治兵衛、通称「植治」の作。元々、ここには三菱財閥の岩崎家の別荘があって、それらは重要文化財にも指定されています。それに加えて、昭和、平成の天皇陛下がお泊りになられた部屋が、庭を取り囲むように建っています。そして、その横の広大な敷地を買い足して、村野藤吾が新館を増築して今の三養荘となったようです。
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まずこちらの広々とした車寄せに到着。ムクリのついた瓦の大屋根が美しいですね。大和、河内の民家に瓦葺きと茅葺きの二つの屋根で構成される「大和棟」と呼ばれるものがありますが、その「大和棟」を本歌とした2段の屋根が村野藤吾らしさの一つです。左側の塀は、南禅寺三門近くの山荘群の一つ「清流亭」と同様の栗ナグリ詰打ち仕上げ。その手前の竹は竪樋です。
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エントラス横の照明。ハート形を崩したような形のこの「猪の目」の文様は、ここ三養荘ではもちろん、村野藤吾の作品のあちらこちらで見かけます。「猪の目」は古くは寺社、江戸時代以降はお茶屋さんなどで下地窓にも使われるようになった文様です。
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扉を開けるとこのようなエントランス空間が広がっています。「忘筌」のように上部だけ障子を入れて、その先の庭も借景とてして取り込んでいます。天井の板をところどころくり抜いて、その奥から下向きの照明をとっています。
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客室は起伏のある広大な敷地に地形に合わせて点在しているので、どこに行くにもかなり長い廊下を移動することになります。「雁行」しながら庭を眺めながら歩くので、次々にシークエンスが変わり飽きることはないのですが、旅館にしてはちょっと規模が大きすぎなような・・・・
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滝があったり、小川が流れていたりと窓の外には様々な風景が広がっています。
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庭の取れないところは、トップライトやハイサイドライトなどを巧みに使い、
明暗を作りながらも、先へ先へと誘います。
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廊下の天井もよく見ると凝っていますね。
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屋根が重なり合うように配置されています。
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こちらはこちらは入れませんでしたが、エントランスを挟んで向かい側にある別棟。今年の秋から会員制の宿泊施設になるようです。村野藤吾が手がけた建物は広大ですね。
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庭は明治の庭師、7代目小川治兵衛「植治」によるもの。「植治」と言えば、京都の無燐庵や平安神宮などの庭で知られていますが、それらの庭と比べるとこちらの庭は今一つハッとするようなところはなく、恐らく植治晩年のものでお弟子さんがかなりメインだったのでしょう。
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「植治」の庭の周りには、三菱財閥の岩崎家の別邸が数棟配置されています。
文化財にも指定されている重要な建物で、こちらにも泊まれます。
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本館の入り口はこのような感じ。
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そして廊下です。
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こちらの明治期の古典的な和風建築と比べると、村野藤吾の新館が近代以降の和の解釈をしていることがよくかわかります。
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庭の高台に四阿。ここから、三養全体を一望できます。
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こちらは宿泊客以外の方も入れるラウンジ。
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天井は村野藤吾らしいデザインですね。

磯崎新の茶室「有時庵」

磯崎さんが建築界のノーベル賞と言われるプリッツカー賞を受賞しましたね。
とって当然、むしろ遅すぎる受賞です。
明晰な鋭い言動が多くの人を魅了する一方で敵(?)も多いのでしょうね。
そんな今、旬(?)の磯崎さんの茶室「有時庵」が特別公開ということで、
見学に行ってきました。
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鉛とステンレスの複合板の円形の屋根と、正方形のスペイン産ライムストーンの外壁。
その壁の角の一部がかけたところに丹波の栗の柱が立っていて、
チタニウムの曲面の壁が水屋を切り分けています。
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よく見ると柱は庇には届いていない領域を分ける象徴としての柱です。
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四角く切り取られたステンレスの躙口。
硬質な人工素材を組み合わせることで、個々の素材を引き立たせ、暖かみと緊張感を融和しています。
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躙口から見た景色。左奥に見えるのが茶道口。囲い板は千年屋久杉、中柱は丹波椿。
二丈台目の小間ですが、非常に密度の高い空間です。
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こちらが貴人口。左に躙口。床は鉛板張り、床柱は薬師寺古材の桧。
手前は立礼式の土間となっています。
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水屋は明るくシンプル。
現代的なとても小さな茶室ですが、無限の広がりを感じさせる落ち着く空間です。
流石、磯崎さんです。感服いたしました。

ビルバオの建築

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バスクで現代建築を一つあげるなら、
勿論、フランク・ゲーリーのグッゲンハイム美術館。
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やや今更感があるですが、行ったことがないので、、、
それほど期待せずに行きましたが、流石、フランク・ゲーリー侮れし。
外観も予想以上のインパクトがありましたし、
内部も変化に富んだ素晴らしい空間でした。
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タイトスケジュールで、時間もないので、建築だけと思いつつ、
リャードセラの作品がこれだけ並ぶと、
ついつい見てしまい、、、気がつくとかなりのタイムオーバー。
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ゲーリーの曲面とセラの曲面が呼応して、素晴らしいハーモニーを奏でていました。
この美術館が寂れたビルバオの街に新たな息吹を与えたのは間違いなく、
この成功に続くように世界中で街おこしの美術館ブームがきましたが、
建築デザインが持つ力を改めて再認識しました。
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グッゲンハイム以外は土砂降りの雨の中、川沿いをお散歩して、

カラトラバのスビスリ橋を見たくらいで、次の目的地へ。
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ビルバオから北へ車で30分、ゲチョという街にあるビスカヤ橋。

街を歩いていると突如、巨大な橋が現れます。
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このビカヤ橋はかなり昔に世界遺産に認定された運搬橋で、
今もまだ使われているとても貴重な遺産です。
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ワイヤーから吊るされたゴンドラが対岸に人と車を運びます。
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車はここで待機。
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橋上部は今は対岸に渡れませんが、登ることはできました。
見晴らしが良いのですが、海から吹き付ける風で立っているのが精一杯。
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下を覗くと、、、ゴンドラに乗った車が移動しています。
車の両脇の白いところに人が乗ります。
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そして、セビリアに移動するために、カラトラバの設計のビルバオ空港。
小さな空港だからこそできる空港のデザインですね。
本来、この空港をのんびり見る時間もなかったはずですが、
まさかのオーバーブッキング!空いている便は明日までないとのことで、
格安航空券ということもあってか対応は極めてあっさりしていて、
自分たちで空港内で他の航空会社を回る羽目に・・・
本来はビルバオからセビリアへの格安の直行便でしたが、
7倍の料金を払ってイベリア航空のマドリッドを経由、
5時間遅れでセビリアに到着することになりました。
予約していたフラメンコはキャンセルし、セビリア観光はなしとなりました。
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リチャード・ロジャースが設計した空港も見学したと思えばまあいいかな?

山陰の近代建築

菊竹清訓の代表作、出雲大社庁の舎が数年前、壊されてしまったので、
今、山陰の近代建築を一つあげるとすると、
満場一致で東光園ではないでしょうか?
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庭側から見た東光園外観。
天皇陛下も泊まった有名な旅館のようですが、
今は団体客も泊まる大衆旅館という位置付けのようです。
実際泊まった感想としては、ホスピタリティは決して悪くはないものの、
やはり旅館としては一流の高級感は感じられないのですが、
建築のデザインとしては、今なお異彩を放っているように思いました。
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内部空間で最も重要であろうと思われるロビーのこの柱。
伝統的な日本のデザインを感じさせながらも、
先進的な試みを感じさせる不朽の名作だと思います。
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ロビーから見える庭の設計は流政之。
今はなきニューヨークの貿易センタービルの彫刻で有名な方ですが、
ネットで調べると、ほんの数ヶ月前になくなったとのこと。。。
ところで、山陰には近代建築がたくさん残っていて、
東光園のある米子から車で30分の松江には、菊竹建築がたくさんあります。
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こちらが菊竹さん設計の島根県立図書館。
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こちらが島根県立武道館。やはり、設計は菊竹さん。
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そして、こちらも菊竹さん設計の田部美術館。
コールテン鋼の大屋根が特徴の建築ですが、
つくり方や空間性など、やや菊竹さんらしくない印象でした。
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こちらは、菊竹さんよりさらにさかのぼり、、、
丹下健三と師匠、岸田日出刀との共同設計の倉吉市庁舎。
残念ながら耐震補強がいたるところに施されていて、
空間性は完全に失われていましたが、、、
今でも大事に使われているのが印象的でした。
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ここから見える倉吉の町並みは美しく、
竣工当時、斬新なデザインの庁舎と対比が素晴らしかったことでしょう。
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そして、こちらは村野藤吾の米子公会堂。
閉館後に、わざわざ職員の方が丁寧に案内してくださいました。
耐震補強の際に倉吉庁舎のように空間性を損なわないように、
注意して工事を進めたとのこと。
米子市民に愛され続けているこの建物は幸せ者です。
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こちらは出雲から益田に行く途中の江津市の庁舎。設計は吉阪隆正です。
山陰にはたくさんの近代建築が健在ですが、老朽化が進んでいるので、
出雲大社の舎のように建て替えの可能性もあり得ますね。
とても濃密な時間を過ごすことができました。

カップマルタンのアイリーン

bunkamura ル・シネマで14日から上映されますが、
その舞台となっているのが、ここカップマルタン。
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ニース同様、砂浜ではなく、砂利の浜です。
この上に寝ると、とても痛そうですね。
海のそば、写真中央に小さく見える白い小さなたてものが、
アイリーン・グレイの別荘、E.1027です。
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その拡大がこちら。
右上にコルビュジェの休暇小屋も木々の間から見えます。
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アイリーン・グレイの別荘は数年前に公開(事前に予約が必要)されたばかりなので、
中に入ったことがある人は少ないのではないでしょうか?
ガイドさんの説明によると、殺人事件があった後、ずっと廃屋になっていて、
アイリーンを激怒させたコルビジェのあの有名な落書きがあったおかげで、
フランス政府から補助が出て、今のように見学できるように補修されたとか。
なんとも皮肉な話ですが、コルビュジェのおかげのようです(笑)。
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コルビジェが嫉妬した(?)センスの良いインテリア。
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右にちらっと見えるのが、コルビュジェの絵(有名な落書き?)。
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海側はガラス張り。バルコニーと日よけもきちんとついています。
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とても気持ちよさそうなハンモック。
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その先は絶景です。
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庭もセンス良くタイルを貼り分けられています。
映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」公開が楽しみですね。

念願のルトロネ

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今回の旅の目的地、ルトロネの修道院。
一台も対向車が来ない山奥の細い道を走り続けてようやくたどり着き、
思わず息を呑み、、、、カメラを構えてしまう。
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辺境の地であることに加えて、夕方に着いたこともあり、
人はほとんどいない静かなルトロネの修道院。
闇に包まれた礼拝堂に夕方の横から光が差し込み、神秘的。
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そして、完璧なプロポーションに、また息を呑む。
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「粗い石」の細部にまで神が宿っています。
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礼拝堂を抜けた先に回廊があり、光が人をいざないます。
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写真では何度も見たことがある回廊の柱。実際に見て、感激!
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敷地の起伏にあわせて回廊も起伏があり、空間に変化を与えています。
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石の表情が光のあたり方で大きく変わります。
ロマネスクの修道院をこれまで見てきましたが、
ここルトロネが最も簡素で、そして最も完璧です。
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隙間から見える風景も完璧です。
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上に上がると回廊が見渡せます。
ルトロネをほぼ独占。閉まる直前に来て良かったです。
サントロフィーヌはギリギリ見れなかったけど・・・・(涙)。
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ここ数日、いくつも修道院を見学しましたが、ルトロネが最後で大正解。
たくさん見てきたけど、ルトロネは圧倒されました。
勿論、見る視点を変えれば、それぞれに良いところはあると思いますが、
完璧な造形という点は群を抜いているように思います。
建築家同士でもよく話にあがるルトロネの修道院。
やはり、ここに来なければこの空気感は感じられないと思いました。

アアルトのメゾンカレ

二日目の早朝、レンタカーを借りるためにパリ東駅へ。
車でパリ郊外のアアルトのメゾンカレへ行き、
ブルゴーニュ経由で(いくつか見学して)、
ローザンヌまで一日で行くというのは、
そもそも無謀なスケジュールだったのですが、
ナビが着いてないなどのトラブル多発で、スタートから1時間遅れ。
天候も雨まじりとなってきて、いやな予感が・・・・・
久しぶりの左ハンドルのマニュアル車(フランスはATが高い)にもかかわず、
約束の時間がすでに過ぎていたので、猛スピードでメゾン・カレへ。
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門からは建物は見えず、大きな木の中を緩くカーブした道をしばらく行くと、
斜面に沿った片流れ屋根の美しい住宅が見えてきます。
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屋根の先端、雨水までもが完璧にデザインされています。
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どこから見ても美しい佇まいです。
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エントランスまわりも、圧倒的な完成度の工芸品のような佇まい。
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事前に予約をすると、この空間を独占できます(ちょっと高額ですが・・・)。
大勢で行くのと違って、静かに空間を体験できる上に、
誰にも邪魔されずに思う存分写真を撮ることもできます。
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天井も徹底にデザインされています。
完全にノックアウトされてしまうほどデザインされていて、
とても素晴らしいと思うと同時に、
どこか僕が目指す建築とは違うように思いました。
あらゆるディテールまでデザインされていているので、
それをひとつひとつ写真に撮っていると、すっかり時間を忘れてしまいました。。。
気がつくと、出発の予定時間を大幅にずれ込んでしまいました。
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大慌てで、東へ、東へと車を走らせます。
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畑の中に突如美しいヴェスレーの村が現れ、そこにロマネスクの教会があります。
12世紀に建てられたサント=マリー=マドレーヌ聖堂です。
二色の石を交互に積んだアーチの部分がロマネスクですが、
後陣のところは13世紀に改修されたゴシック様式とのこと。
ロマネスクというとルトロネのようなものをイメージしてしまいますが、
こんなに明るいロマネスク建築もあるのですね。
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ヴェズレーの高台から眺めると、広大な畑がどこまでも続いています。
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この時点で、スケジュールが大幅に遅れていたので、
軌道修正をすれば良かったのですが、
何も考えずに、少し北東のサントロフィーヌの修道院に行へ急ぎ、向かいました。
かなりのスピードで走りましたが、残念ながらギリギリ間に合わず、意気消沈。
天気もどんどん悪くなり、どんどん空も暗くなり、自然とスピードも遅くなり、
真っ暗な、雨の夜道を、慣れない左ハンドルで、国境越えです。最悪です。
クタクタになりながらようやくローザンヌについた時には、
もうすぐ日が変わるような時間になっていました。
部屋に着いたら、バタンキューです。。。。

大忙しのパリの一日

ここ数年、テロの脅威と難民問題など、
欧州の社会情勢が落ち着くのを待っていましたが、ますます悪化している状況なので、
それを待っていたら一生行けないような気がしてきて、
急遽(?)フランスに行くことに。
フランスはこれまに何度か行っているので、
今回は、あちらこちらの行きそびれていたところを廻ることに。
そのメインは建築巡礼のメッカとも言えるルトロネの修道院、、、
だったのですが、気がつくと、広域かつ数が増えていき、
いつも以上に、かなりハードなスケジュールになってしまいました(笑)。
日常業務も山積ということもあり、少しでも効率良くということで、
夜遅くに羽田を発ち、早朝パリに着くエールフランスで行くことに。
夜便に乗ったのは初めてでしたが、一眠りして起きたら目的地に着くので便利ですね。
今さらですが、、、忙しい時はこれに限りますね。
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早朝、シャルルドゴールに着き、ホテルに荷物を置いてパリ北東、ル・ランシーへ。
オーギュスト・ペレ設計、世界初のRCの教会です。
これに似たものは(?)あちらこちらに見かけますが、
これが100年前につくられたというのですから、驚きです。
コンクリートでありながらも威厳に満ちた風格があり、
また美しい光まとった外周の壁に包まれる体感をしつつ、
内田祥哉先生のお話を思い出したりもしました。
南仏に行く途中、パリに立寄ったのは、このル・ランシーの教会の他に、
ピエール・シャローのガラスの家とアアルトのメゾンカレに行きたかったからです。
この住宅二つは予約してその時間に行かねばならないので、ちょっと大変。
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シャローのガラスの家に行く途中、
ラヴィレットの南に出来たジャンヌーヴェルの最新作の音楽ホールに立寄りました。
が、中に入れず、少し時間があまったので、ルート上のノートルダム寺院へ。
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何度か来たことがありますが、やはりゴシックにはやられてしまいます。
素晴らしいです。
マニアックなところばかり行くので(笑)、ほとんど観光客に会いませんが、
ノートルダム寺院は、当然ですが、人で一杯でした。
人ごみに来ると、、、テロが少し気になったりもします。。。。
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そして、いよいよピエール・シャローのガラスの家。
既存の建物上部を残して、クリニックと住宅にしたものですが、
既存部分を鉄骨で支え、外壁をガラスブロックで覆っていますので、
内部空間だけ見ると、鉄骨造の戸建て住宅のように見えるのですが、
この建ち方自体がかなりユニークです。
内部空間が素晴らしいのですが、内部は残念ながら撮影不可。
実は、学生の頃から、数回、見学をトライしたものの叶わず、
今回、ようやく見学することができました。
その理由はいろいろあるのですが、難易度をあげているひとつは、
この外観が中庭に面しているからです。
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今回もある程度はその状況は知っていたものの、
メールでやりとりした指定の時間より30分前(早過ぎた)に行ったのですが、
やはり、全く入り口がわからず、30分間うろうろする始末。。。。
時間ちょうどに自動でこちらの扉が開いて・・・・ホッとしました。
中に、あの有名な建物が見えるではありませんか!
今でこそ、インターネットである程度は調べることができますが、
2、30年前の学生の頃、自力で見学させてもらうのは、
相当難易度が高かったわけです。
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そして、地下鉄でセーヌ川をわたり、ラロッシュ邸へ。
個人的にはコルビジェの住宅の中で最も好きな住宅です。
学生にパリに行ったらどこに行くべきですかと聞かれると、
こちらも(を?)おすすめするのですが、
本当に良いのか?と心配になり(笑)、学生の時以来の久しぶりの再訪。
やはり素晴らしい住宅でしたが、正直、期待していたほどの感動はなく・・・
それは、念願のシャローの住宅を見た後だったからなのか?
ただ、一度は絶対に行くべく住宅ですので、行ってない人は是非!
早朝から、長い一日でした。。。