ムーラッツァロ島に建築家アルヴァ・アアルトの別荘があります。
ユバスキュラから20km、セイナッツァロから4kmの所にある小さな島で、
今でこそ橋がかかっていますが、以前はすべてボートでの移動。
サマーハウスとボートの文化は、教養ある階級の生活には重要だったようです。
アアルトが隣町のセイナッツァロの町役場の設計していた頃、
先妻のアノイが他界し、その後エリッサと結婚。この別荘を建てました。
この別荘は水面から隆起した岩の上に建っています。
まわりに美しい湖と森林がありながら、中庭を囲んだプランとして、
湖の見える方角にだけ壁が開かれています。
中庭は50種類の赤レンガのパッチワークで、外周部は白く塗られています。
白い石灰で塗られた外周部の壁は湖の方向のみが開かれています。
リビングから中庭越しに見た湖。
中庭中央部には炉をつくり、火をおこして暖をとったり、
バーベキューをしたりできるようになっています。
壁の一部を切り取り、風景を切りとりたいという意思と、
炉を中心に囲みたいという意思を感じます。
「囲む」というコンセプトはわかりますが、
壁の向こう側にはあまりに素晴らしい湖が広がっているので、
無理に囲まなくても良かったような気もしてきますが・・・・
正方形の中庭を囲むようにL形の建物が配置されています。
床は赤レンガのパッチワーク。
壁も赤レンガのパッチワークです。
アメリカのMIT学生寮ベーカーハウス、セイナッツァロの町役場、
ヘルシンキ工科大学、ユバスキュラ大学、文化の家など、
その当時のアアルトの作品の外壁は赤レンガが使われていますが、
この中庭では約50種類の赤レンガが実験的に使われています。
こちらがリビングの内観。
ここから中庭越しに湖を望むことができます。
細い木材を組み合わせたシンプルな架構です。
現在もアアルトの子孫が別荘として利用していますが、
月水金の13時半から2時間だけ見学が可能(要予約)。
こちらはサウナ。サウナのあとは目の前の湖へ。
フィンランドらしいですね。
こちらはボート小屋。
この島には橋がなかったので、以前は移動はすべてボートだったようです。
日本人の感覚からするととても贅沢に思えますが、
北欧のあちこちでこのような風景を見かけました。
北欧32 / アアルトの実験住宅「夏の家」
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