7月はここ数年、海外視察に行くようにしている。
今年はパリ経由で北欧に出かけた。
北欧の巨匠と言えば、アスプルンドとアアルト。
二人の巨匠の作品と教会建築を見ることが今回の目的だ。
北欧のブログの最初は、アスプルンドの代表作「森の墓地」から。
「森の墓地」は世界遺産に選ばれているが、
完成が1940年と世界遺産としては極めて最近のもの。
建築、ランドスケープのデザインだけでは片付けられない、
非常に新しい思想がその選定理由なのだろう。
フィンランドにおいて森は聖なる場所で、
森に帰るという思想を元に火葬してその骨を森に撒く。
それまでの西洋の常識を覆す斬新な発想である。
道路から入ってすぐの入口付近。右が遺灰が撒かれる森。
あの有名な十字架が見えて、思わず「これ!これ!」
あまりにも有名なカットだが、写真では伝わらない素晴らしさがある。
歩いていくと周りの風景が緩やかに変わっていく。
緩やかな坂を登っていくと、大礼拝堂が見えてくる。
木々の中に墓石が並ぶ。木漏れ日が美しい。
日本のような切り花ではなく、土に花が植えられている。
火葬した遺灰が撒かれている聖なる森。
タグ: 名建築
アメリカ西海岸32 セントメリー教会
サンフランシスコのセント・メリー教会(1971年竣工)。
設計はピエトロ・ベルーシとピエール・ルイジ・ネルヴィ。
四隅を力強いボリューム感のある柱で支え、見事な曲線を描いている。
屋根を十字に切り取ったスリットにはステンドグラスが入っている。
あまりの感動に、しばらく天を仰いでしまう。
丹下健三の代表作「東京カテドラル(1964年起工)」にどことなく似ている。
こちらも素晴らしい建築だ。
十字に切り取られた屋根スリット。
外観は「東京カテドラル」にやや似ている。外装材はトラバーチン。
建物を支える柱脚。コンクリートでつくり出された素晴らしい構造美。
窓の向こうには、サンフランシスコの街が広がっている。
祭壇
アメリカ西海岸30 ハイアットリージェンシー
ハイアット・リージェンシー・サンフランシスコは、
ジョン・C・ポートマンの代表作(1974年竣工)で、
シティ・ホテルの大きな吹き抜けの走りだそうだ。
やや古き良きアメリカという雰囲気はあるが、
大きな吹き抜けに圧倒され、思わず見上げてしまう。
ロビーのソファでアトリウムを見上げていると、時間が経つことを忘れてしまう。
アメリカ西海岸29 レイニヤー・バンク・タワー
シアトルのダウンタウンにあるレイニヤー・バンク・タワー。
設計者はNYのワールド・トレード・センターの設計で知られるミノル・ヤマサキ。
ワールド・トレード・センターは先進的な構造が有名であったが、
設計者の全く予測しない悲劇により倒壊してしまったことは非常に悲しい。
こちらのビルの竣工はワールド・トレード・センターとほぼ同じ1977年。
ビル基壇部分が細くなっているのが特徴で、シアトルの人で知らない人はいないだろう。
奇抜な形態というだけでなく、見えないはずの向こう側が見通せるという意味で、
ビルに囲まれた道路に対して風通しの良さを感じさせていると思う。
ビルの足元からの見上げ。基壇部分が細くなっているのが特徴。
半分は見えなくなってしまうはずの向こう側のビルが見える。
アメリカ西海岸28 ソーク生物学研究所
今回の旅行のメインのひとつ、「ソーク生物学研究所」。
ロサンゼルスを早朝に出発し、これを見るためだけに1日がかりで南下。
ラホーヤというアメリカ人の老後の住まいとしてベスト3に入るリゾート地にある。
「ソーク」はルイス・カーンの代表作で、僕より一回り上の世代の建築家は、
一番好きな建築にあげることも多いのではないだろうか。
少し前までは、なぜそれほどまでにカーンが良いと言われているのか理解できなかったが、
最近になってようやくその良さがわかってきたような気がする。
あまりに有名なお決まりのショット。水の流れる先は水平線。
床を見ると、素晴らしい文章が。
水の流れいった先で、研究者たちがくつろいでいる。
中庭の反対側の外観は分節されたコンクリートの塊。
アメリカ西海岸27 双眼鏡
建築家のフランク・O・ゲーリーが設計した大きな望遠鏡。
この望遠鏡は正確には「シャット/デイ/モージョー広告代理店」のエントランス。
90年代のポスト・モダンという建築のムーブメントの中の作品で、歴史的には重要なもの。
賛否両論が勿論ある建物だと思うが、今でも大切に使われていることは間違いない。
アメリカ西海岸26 ロサンゼルスの丘の上
ロサンゼルス北部の丘陵地に高級住宅街が広がっている。
ロスの街が眼下に見渡せる素晴らしいロケーションで、
ビバリーヒルズとはまた違う、アメリカらしい高級住宅街だ。
プールサイドのガラス張りのリビングと、
眼下に広がるロスの夜景の写真で有名な
ピエール・コーニッグの「ケース・スタディハウス#22」もこのあたりにある・・・
はずなのだが、ぐるぐる探し回った挙句、辿り着けず・・・
フランク・ロイド・ライトが設計した豪邸もいくつかあり、
外観だけだが見ることができた。
丘の上からの夜景が素晴らしかったが、写真は残念ながら夕景のみ。
フランク・ロイド・ライト設計のストーラー邸。
テキスタイル・ブロックと垂直にのびるカーテンウォールが特徴。
フランク・ロイド・ライト設計のエニス邸。
日本の感覚では大きなビルと言っても過言ではない大きさ。
1994年の地震で倒壊したところを今も補修しているようだ。
アメリカ西海岸23 ホリホックス邸
ハリウッドにあるホリホックス邸は、フランク・ロイド・ライト設計の豪邸だ。
今は一般市民に開放されているが、以前は個人住宅というので驚きだ。
休館日で中に入れず残念。
ハリウッドの丘の上にある豪邸。
装飾の施された柱はライトらしいデザインだ。
こんなディテールも。
丘の上にはこの豪邸しかなく、四周はこんな風景。
たまたま見かけたリス。日本のリスよりかなり大きい。
アメリカ西海岸21 ロヴェル・ビーチ・ハウス
オーストリアから渡米したルドルフ・M・シンドラー。
彼の自邸を見学して非常に印象が良かったので、
彼が設計したロヴェル・ビーチ・ハウスを見に行くことにした。
ロヴェル・ビーチハウスはピロティ、横連窓など、
アメリカの初期インターナショナルスタイルの秀作である。
ロサンゼルスからやや離れたニューポートビーチにあり、
東京と葉山との関係のようなものだろうか?
場所は非常に分かりにくいところにあり、
行ったり来たりを繰り返し、1時間くらい探してようやく到着。
探し疲れてかなり不機嫌な状態で、中も見ることができず、
残念ながらこの建物はすこぶる印象が悪い。
人が住んでいるので、中に入れないのは当然だが・・・・・
アメリカ西海岸21 イームズ自邸&スタジオ
チャールズ&レイ・イームズ。
言わずと知れたミッドセンチュリーの代表格。
この建物は「ケース・スタディ・ハウスNo.8」で
イームズ夫妻の自邸&スタジオとして建てられた。
交換可能な既製の工業製品を使って、
2m×6mの基本モデュールを8組用いて住宅とし、
5組用いてスタジオとしているらしい。
日本での彼らの人気はコルビュジェ以上だろうか。
以前から行ってみたいと思っていた住宅だったが、
実際に行ってみると想像以上に良かった。
周りの環境が良く、保存状態も良い。
ディテールにこだわりが伝わってくる。
スタジオから自邸へのアプローチより、自邸です。
自邸の長手方向立面。広い敷地にはこんな大木が何本もある。
自邸のリビングをなんとなく・・・ 室内は撮影不可なのが残念。
自邸の玄関。紐を引くと呼び鈴がクルクル回り、音が鳴る仕組み。
用がなくてもクルクル回したくなる。
自邸とスタジオの間の外構。