一昨年前に竣工した「東小金井の家」に、久しぶりに行ってきました。
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この住宅は、のどかな風景が残る東京郊外・武蔵野に建つ住宅で、
風景を切り取る小さな板を集積させたデザインが特徴です。
家の中においてその風景をそのまま取り込むのではなく、
場に合わせて風景を切り取り、
そのひとつひとつを改めて頭の中で組み合わせることで、
武蔵野の風景を感じられるようにしたいと考えました。
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風景は小さな板(壁と床)をランダムに組み合わせて生じる隙間により切り取り、
目線の高さにより更に多様なものとしています。
太陽光の入り方や眺望、プライバシーの確保を意識しながら、
壁や床を配置することで明るいところと薄暗いところが生まれ、
単純なルールにして多様な場が生まれています。
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明暗や天井の高さ、部屋の大きさの異なる場の繋がりは多様です。
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階段の踊り場の様で、部屋のような不思議な場所。
子供部屋、寝室といった行為別にこだわらない建主の柔軟な考え方があったからこそ、
夏は涼しいところ、冬は暖かいところと最も居心地の良いところを探すネコのように、
その時々で過ごす場を移りかえていく多様な使い方のできる住宅になりました。
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プライバシーが守られた上方は開口部が大きく、明るい。
軸の振れた壁と垂れ壁とレベル差が、空間を曖昧に分節します。
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ダイニングテーブルの先にキッチン。
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ソファのある寛ぎスペース(リビング)の先に、眺望の良いバルコニー。
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夜になると、全く違った表情に。
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光と影が空間を曖昧に分節します。照明計画はシリウスの戸恒さん。