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平田雅哉の「つるや」に泊まる

今回の北陸の一番の目的は芦原温泉の「つるや」の見学。
先月、熱海の「大観荘」に行き、他の平田雅哉の数奇屋建築も見たくなり、
気がつくと、はるばる福井芦原温泉まで来てしまいました。
北陸新幹線が金沢より先に延びると、一気に東京からも近くなりますね。
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泊まったのは「吉兆」というお部屋。
平田雅哉が最も気に入っていた部屋ということで、この部屋を指定。
チェックインからチェックアウトまで、
可能な限り(それ以上?)どこにも出ずにずーとこの部屋にいると、
平田雅哉のデザイン意図が色々と伝わってきます。
やはり堀口捨己や村野藤吾といった建築家の数奇屋と、
大工の棟梁の数奇屋は違うんだなあと思いながら、のんびりと寛ぎました。
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「吉兆」の入り口横の透かし彫り。
枠はシャープに見えるように「刃掛け」の枠なしの納まりとなっています。
私たちも左官の「刃掛け」の納まりは多様していますが、
柱や枠がある中で枠なしのところをつくとその意思を強く感じます。
水平の垂直の線(枠の見付けなど)を上手く使って空間に変化を与えているのですね。
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「大観荘」にはアクリルを使った斬新な(?)ディテールがありましたが、
こちらにも同じようなデザインがあちらこちらありました。
こちらのストライプの入った壁も少し普通と違った趣きです。
近づいてみると、、、
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V目地のところをシルバーに塗って表情を作っています。
住宅の規模だとちょっと気になるディテールですが、
この規模の暗がりではいい感じですね。
今見ると、今一つかなあと思うデザインもチラホラありますが、
失敗を恐れずトライし続けた数奇屋大工に脱帽です。
チェックアウト後、他の部屋も見せていただきました。
見せていただきたかったお部屋は「観月」と「大観」でしたが、
運よくどちらも空室で二室とも見せていただきました。
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こちらは「観月」の月見台。栗の木を手斧でなぐり仕上げの手摺です。
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そして、大観の間。突き当たりの障子を閉めると・・・・
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ザ・  平田雅哉です。
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アップしてもやはりこの障子は美しいですね。
「大観荘」と「つるや」と平田雅哉の作品を二つ見ると、だいぶ分かってきました。
次に泊まりに行くなら、村野藤吾の「三養荘」かなあ?
未知なる数奇屋の世界は、どこまでも深いですね。

成巽閣「清香軒」

北陸新幹線、かがやきで春の北陸へ行ってきました。
かがやきで長野までは何度か乗ったことがありますが、
東京-金沢間がたったの2時間半。大宮の次は長野、そして、その次は富山。
ひと昔前は東京長野間と言えば3時間でしたよね。
そんな話をするのはお爺さんネタですかね(笑)。
横川-軽井沢間を1時間かかっていたのが懐かしい気もしてきます。
信州は遠く、さらに一山超えて北陸、それはそれで良かったような・・・
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車窓から妙高や立山が見えましたが、、、、
こんな風景もあっと言う間に通り過ぎてしまいます。
ところで、金沢には数回来ていながら成巽閣を見学するのも今回が初めて。
成巽閣と言えば天井がウルトラマリンブルーで塗られた「群青の間」、
他にも「つくし縁」、「謁見の間」など見所は満載。
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撮影が許可されているのは庭だけなので、庭を撮りながら・・・・
こちらは木造の伝統構法の桔木を使った20m無柱の「つくし縁」。
ところで、このアングルの写真はOKだったのかな?(笑)
見上げると・・・・
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野地が凝っていますね。こんな感じに、かなり密度の濃い建物です。
今回、非公開の清香軒、清香書院、飛鶴庭の見学を事前申し込みしていたので、
誰もいない静かなところで特別にそれらを見学できました。
「清香軒」は雪の多い北国らしい内露地のある茶室で、特に素晴らしかったです。
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非公開エリアも撮影不可でしたが庭のみ撮影可ということで、
残念ながら写真は建物はひかりつけした柱と庇のみです。
兼六園に行くなら成巽閣にも絶対に行くべきですね。
そして成巽閣に行くなら清香軒は必見。
きちんと事前に予約していかないと見れませんので要注意です。
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その後、谷口吉生が設計した鈴木大拙館に立ち寄り、しばし瞑想。
仏教哲学者の記念館で、竣工してすぐの頃に一度来たことがありますが、
ガイドブックにも載っているからか、以前より人が多く外国人もちらほら。
その混雑にも関わらず、騒いではいけない雰囲気があってとても静かでした。
金沢美術館を横目に、満開の桜が咲く金沢城を通り抜けて近江市場へ。
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ただ通り抜けるつもりが、立派な石垣が目に止まり・・・
こちらは2001年に復元された菱櫓・五十間長屋。
木造軸組工法で復元されていて内部も一応見ておこうと入館。
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予想以上に充実した建物に関する展示もありました。
屋根がグレーが一般的な瓦とは少し趣が違うと思っていたら、
このように木製で作られた屋根に鉛の板で覆われているとのこと。
瓦にせずにこのような屋根にしている理由の一つに、
戦時には鉄砲の弾にするためとも言われているようですが、
はっきりしたことはわかっていないようです。
そして、いよいよ近江市場で夕食。海の幸を堪能しました。

篠原一男の「から傘の家」見学

篠原一男の「住宅は芸術である」という名言がありますが、
その言葉が持つ深い意味を今更ながら痛感する今日この頃。

建築界に多大な影響を与えた篠原一男氏の代表作「から傘の家」を、

今回、特別に拝見させていただきました。
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写真はアップ出来ないのが残念ですが、、、
1962年10月号の新建築 住宅特集のモノクロコピーはこちら。
この名作を見学させていただける時が来るとは思ってもいなかったので、
とても感激です!どうも有難うございました!

RCR@ギャラリー間

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ギャラリー間で行われているRCRの展覧会に行ってきました。
昨年の秋、苦労して探しながらオロト周辺の作品を巡りましたが、
展覧会に合わせて発売された本には、作品がマップにプロットされていて・・・
もう少しだけ早く発売してくれていたら・・・と思ってしまいました。
この展覧会では彼らの作品の良さはあまり体感できないように思いましたが、
興味を持った方はぜひ、行って見ることをお勧めします。
実際に行かないとわからない作品だと思います。
まだ行っていないベルギーの火葬場と南仏の美術館もぜひ行って見たいと思います。

山口文象「林芙美子邸」見学

特別公開された山口文象が設計した「林芙美子邸」の見学に行ってきました。
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中井駅で降りて神田川を渡って北へしばらく歩くと、
南斜面の坂を登り初めてすぐところに「林芙美子邸」の門があります。
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門を抜けて竹林の坂を少し登ると・・・
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玄関が見えてきます。素晴らしいアプローチですね。
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玄関の扉を開けると、、、上がり框がある一般的な玄関ではなく、
手前に靴脱ぎ石が置かれた少し高いところに「取次の間」が正面にあります。
「取次の間」は2畳のスペースですが、3枚の細長い小さな畳が敷かれています。
障子も通常だと2枚のところを3枚とすることで、広く見せているとのこと。
この玄関もそうですが、茶室の要素が家全体に散りばめられています。
林芙美子は茶の湯の世界にとても興味を持っていたので、
大徳寺のお坊さんに色々相談しながら、作ったようです。
ここを右に曲がると客間で・・・
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左の奥にも靴脱ぎ石がありますが、そちらはプライベートな空間。
あるいは親しい方を通す動線が確保されています。
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出版社の方などが通された客間。小さながらも落ちく部屋ですね。
ここならしばらく待たされてもいいですね(笑)。
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親しい人は、日当たりの良いこちらの茶の間に通されたそうです。
この部屋は家の中心にあって、廊下がぐるりと回っています。
そして、あちら側に見えるのはアトリ棟。
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実は左のアトリエ棟と右が生活棟に別れています。
竣工が1941年、建坪の制限あったため、60坪を30坪づつの分棟にしたそうです。
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こちらは竣工当時は書斎として使われていたのですが、
日当たりが良すぎるということで、隣の小さな納戸スペースが書斎に。
茶室や小間ではよくある下がり天井を大きな部屋で使っていたり、
2階ではよくある闌干があったり、、、
よく見ると普通ではないですが、それが良い雰囲気を醸し出しているのだと思います。
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その書斎の後ろを振り向くとこんな風景が。
どことなく忘筌に似ていますが、、、やはり忘筌を参考にしているとのこと。
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一見、古くさい(?)普通の住宅にも見えなくもないですが、

よく観察すると機能的な設備や平面計画など、随所に近代のセンスも感じられます。
時代を遡って見学する現代人にとっては、
逆に古いものが新鮮に見えるので、気づきも多いですね。

NYスタインウェイとストラディバリウス

久しぶりに上野の東京文化会館に行ってきました。
前川國男が設計した有名な建物なので、建物は何度も見学したことはあるのですが、
音楽を聴くのは今回がはじめてだったので、とても楽しみでした。
今回はマギーズセンターのチャリティコンサートということもあり、
建築関係者や大学関係者などの知り合いも知り合いもチラホラ。
マギーズセンターは知らない方も多いかもしれませんが、
イギリスの建築家チャールズ・ジェンクスの妻、マギーさんの遺言で、
20年前にできた、がん患者とその家族、友人のための無料相談支援施設。
今回のチケット代が全額、その運営費にまわされるとのこと。
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壇上に置かれているピアノはホロヴィッツのNYスタインウェイ。
そして、バイオリンはストラディバリウス、一流の音色の共演でした。
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プログラムにも最初からのっていた有名なバイオリンはさてき、
聴きなれないピアノの音色は演奏者の技なのかと思っていたら、
(それもあると思いますが・・・)
ホロヴィッツが来日した際に、ふだんから愛用しているピアノを、
アメリカからはるばる輸送して会場に持ち込んで演奏したことで知られる、
あのヴィンテージピアノだったようです(後から知って合点がいきました)。
曲目も良く、とても素晴らしいコンサートでした。
やはりホールは観るものでなく、聴くところですね。。。
建築関係者でなければ、当たり前のことですが・・・・(笑)。

磯崎新の茶室「有時庵」

磯崎さんが建築界のノーベル賞と言われるプリッツカー賞を受賞しましたね。
とって当然、むしろ遅すぎる受賞です。
明晰な鋭い言動が多くの人を魅了する一方で敵(?)も多いのでしょうね。
そんな今、旬(?)の磯崎さんの茶室「有時庵」が特別公開ということで、
見学に行ってきました。
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鉛とステンレスの複合板の円形の屋根と、正方形のスペイン産ライムストーンの外壁。
その壁の角の一部がかけたところに丹波の栗の柱が立っていて、
チタニウムの曲面の壁が水屋を切り分けています。
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よく見ると柱は庇には届いていない領域を分ける象徴としての柱です。
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四角く切り取られたステンレスの躙口。
硬質な人工素材を組み合わせることで、個々の素材を引き立たせ、暖かみと緊張感を融和しています。
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躙口から見た景色。左奥に見えるのが茶道口。囲い板は千年屋久杉、中柱は丹波椿。
二丈台目の小間ですが、非常に密度の高い空間です。
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こちらが貴人口。左に躙口。床は鉛板張り、床柱は薬師寺古材の桧。
手前は立礼式の土間となっています。
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水屋は明るくシンプル。
現代的なとても小さな茶室ですが、無限の広がりを感じさせる落ち着く空間です。
流石、磯崎さんです。感服いたしました。

「コープオリンピア」訪問

マーフィーのフローリングで知られるアトムカンパニーが、
東京オフィスをコープオリンピアに移転したと聞き、、、
早速、移転祝いも兼ねて建物見学に行ってきました(笑)。
コープオリンピアは東京オリピックの翌年、1965年に竣工で、
一億円を超えた「億ション」第一号ということでも有名ですが、
表参道の緑と風格のある佇まいでご存知の方も多いのでは?
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いろんな間取りの部屋があって、改装もされているので、
今となっては一つとして同じ部屋はないと思いますが、
こちらの部屋は、キッチン、水回りなど、ほとんど竣工当時のままとのことで、
リフォームの相談されましたが、、、、今のままが良いですね(笑)。
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屋上には今は使われていないようですがプールもあります。
360度の大パノラマの絶景です。
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丹下健三の名作、代々木体育館は来年のオリンピックに向けて耐震改修中。
この建物はどこから見ても本当に美しいですね。
西洋美術館に続いて、こちらも世界遺産登録を目指しているようですが、
オリピックに間に合えば良いですね。

「自由学園明日館」の大谷石

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自由学園明日館で東洋大の卒業設計展が行われているということで、
久しぶりに明日館に行って来ました。
アルバイトに来ていた金子さんと岡安くんの学年で、
講評会には行けませんでしたが、3位と5位とだったのこと。
彼らは会場にいたので、少しだけ講評を。
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ところで、ここ明日館の設計はフランクロイドライト。
ライトと言えば大谷石(?)。
某プロジェクトの大谷石、どうしようかなあ?と最近は常に頭の片隅に大谷石が・・・
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こちらの1階センターのホールの柱、他には1、2階の暖炉周りや、
外部ではエントランスの床などに大谷石が使われています。
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改めて間近で見てみると、、、
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かなりラフな表面のものを、少し複雑に積んでいますね。
規模とのバランスで表情も変える必要がありますが、、、悩ましい。。。