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コラム3/「土地」に耳を澄ませば 

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 建物を建てる前に誰もがやらなければならない大仕事が、敷地を探すことです。多くの人はこんな場所にこんな家をという理想をもって、ある程度条件を設定して候補地を絞っていくと思いますが、なかなかイメージどおりに行かないのが現実です。理想に忠実な敷地はほぼないと思った方が良いでしょう。そして、そのイメージどおりの敷地に巡り合えなかった分を、設計の力で理想の住まいに近づけていくのが建築家の腕の見せどころです。
 敷地は実に様々なものがあります。例えば、傾斜地に建物を建てるということは、平坦な敷地に建てるということと全く異なる建ち方になります。また、敷地の形状も整形な場合、不整形な場合、細長い場合など様々で、それぞれの形状だからこその建ち方があります。更には道路付きが南か北か、あるいは角地か否か、そして目には見えないその土地の法規制にはどのようなものがあるかなど、例え敷地形状が同じであっても、そのバリエーションは無数にあります。
 設計をスタートさせる際は、まず敷地の中に立ち、まわりをよく観察します。次に道路側、可能な場合は隣地に立って外側から敷地を観察します。そして敷地のもつプラス要素とマイナス要素を整理します。敷地が狭い場合は、特に敷地境界を意識し、建物と敷地境界線の間のデザイン、すなわち、外部空間の設計を慎重に行います。敷地内における建物の内部と外部は、単に屋根があるかないかの違いでしかなく、どちらも並行して設計すべきものです。建物の内部を設計して、それ以外は敷地の余白部分という計画は、敷地を最大限生かしたものにはなりません。設計の初期段階は、敷地境界線を常に意識してスタディし、その土地の持つポテンシャルを最大限活かすことがとても大切です。

「井の頭公園の家」祝!上棟

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方形屋根の「井の頭公園の家」が上棟しました。
建て方の時の位置決めに使った仮柱は取り外され、
建物の中心に鎮座する大黒柱が無事に自立。
建て方の様子はコチラ
現代的な空間構成の古建築を思わせる佇まいです。
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建て主様のご厚意で、上棟式を行っていただきました。
大工さんをはじめ多くの方々と楽しい時間を過ごすことができました。
皆様、どうも有難うございました!

コラム2/敷地の「ソト」に価値がある 

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 「家に帰ってほっとしたい」、「週末は家でゆっくり過ごしたい」という言葉が表すように、「家」という言葉にはプライベートな印象があります。そのためか、どうしても視点や発想が内向きで、家の設計を依頼する建主の多くは要望が家の中に集中しがちで、街に対する建ち方にはあまり関心がないように思います。要望をそのままかたちにしてしまうような設計者がいるとしますと、その設計者にも責任がありますが、その結果として、今の日本の街並みが出来上がっているように思います。個人の所有物である家は自由に建てることができますが、街をかたちづくる一部であることも忘れずに、その佇まいを大切に考えるべきだと思います。
 私たちが建主から設計を依頼された時は、まず、敷地境界の外側をよく観察するようにしています。敷地の周辺にどのような建物がどんな大きさでどのぐらいの密度で建っているのか、隣接して緑はあるのか、遠くに山は見えるか、並木が見えるか、畑が広がっているかなど、敷地の形や大きさ以上に周辺環境は建物を計画する際に大きな影響を与えます。また、敷地が都心の密集地か、郊外の住宅地か、あるいは別荘地かによっても建ち方は違ってきます。その結果、周辺環境に馴染ませるもよし、反対に主張するのもよいでしょう。何れにしても、その敷地だからこその魅力的な佇まいをつくるべきです。周辺環境のプラス要素は最大限活かすべきですし、マイナス要素があるならば、よく観察して解決していくべきです。建主の個別の要望ではなく、敷地の特性を把握して、その場所から導き出されるそこにあるべくしてある建築は例え住み手や用途が変わっても、そこにあり続けるものとなるでしょう。

雑誌「モダンリビング」に「キャベツ畑と家」掲載

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雑誌「モダンリビング」にMDSが設計したキャベツ畑と家が掲載されました。
Minotti のソファとクリエーションバウマンのカーテン、
実際はそのようなシンプルかつクールなインテリアなのですが、
編集部の方々が絵や家具を持ち込んで、
MIX styleを提案するというのが今回の企画。
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こんな感じのMIX styleに様変わり。。。。
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ダイニングはこのような感じに(MDSのHPと比較すると面白いかも)。
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掲載された最新号はこんな表紙です。店頭で是非、ご覧になって下さい。

既存建具の再利用

鶴見のリノベーションでは、増築を繰り返してきた既存家屋の最も古い部分の骨格まで戻し、計画をスタートしました。各所にあしらわれていた個性的な建具を再利用して新しい計画の随所にちりばめています。

こちらはもともと床の間の横、書院にはめられていた富士山をシンボリックに描いた乳白ガラスの格子戸。パントリーの照明で裏側から照らすことで、夜には行燈のようにぼんやりと光ります。

2階は既存の構造体をほとんど新しい仕上で覆ったモダンな造り。奥に見えるシャンデリアと光の漏れる障子は、既存のものを再利用しています。_

モダンな造りの2階もあえて部分的に既存の柱を露出させ、既存の建具(仏壇の扉であったもの)を木製の手摺の一部に見えるように組み込んでいます。

こちらは新しい仏壇。もともとあった大きな仏壇をコンパクトに纏め、4枚引き違いだった建具を2枚の開き戸として仕立て直しました。

既存の仏壇と富士山の書院格子戸の様子。時を重ねてきたものをかたちを変えながら今の暮らしへ溶け込ませ、歴史を紡ぎなおす。過去の記憶を抱えた素材たちが 、空間に奥行きを与えています。

秋晴れの現場

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秋晴れの中、井の頭公園の家の建て方に行ってきました。
方形の屋根は構造上、柱がなくても安定していますが、
建て方の時の位置決めに仮柱を立てています。
屋根の野地板を貼ってから仮柱をはずすのですが、それは、後日のお楽しみ。

「つつじヶ丘の家」久しぶりの訪問

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数ヶ月前に竣工した「つつじヶ丘の家」。
引っ越しされてはじめての訪問ですが、快適に過ごされているご様子。
奥様の手料理と美味しいお酒で会話も弾み、気がついたら終電間際。
夜遅くまでどうもありがとうございました。

コラム1/「イマ」の「ニッポン」に建てるということ

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 慣れ親しんだ日本から海外へ旅に出ると、誰もが無意識に日本との比較をしながらその国の特徴を感じ取っていくと思います。それは目に飛び込んでくる風景であったり、匂いであったり、音であったりと、五感で感じる全てのものが比較対象になります。そして、その特徴は歴史や文化、気候風土により様々にかたちづくられていますが、街のつくられ方や建物の建ち方も例外ではなく、特に気候風土により特徴が表われています。それは実際に足を運んで自分の五感で感じ取るのがいちばんですが、「建築家なしの建築 (バーナード・ルドフスキー著)」や「集落の教え100 (原広司著)」といった書籍を読むだけでも、ある程度は想像できると思います。砂漠のオアシスに建つ住宅、ヨーロッパの石で作られた住宅、アジアの集落など、それぞれの歴史や文化によって佇まいは異なりますが、気候風土による共通点もあります。例えば、気温が高くても湿度の低いところは日陰に入れば涼しいため、日陰のつくり方を工夫した建ち方になりますし、気温が高い上に湿度も高いところは、風通しを良くする建ち方になります。
 日本の多くの地域は温暖湿潤気候という気候区分に属します。夏は高温多湿で雨が多く、冬は気温が低く乾燥し、季節風の影響で四季のはっきりした気候と言われます。そのため、日本古来の建物には軒の深いものが多く、夏は強い陽射しを遮り、雨の日でも吹き込みを気にせず窓を開け放して風通しをつくり、同時に外壁を雨から守るしくみがつくられています。そして、その深い軒先は「縁側」という外でもあり内でもある日本独特の空間を生み出し、春や秋には窓を開けて屋外である庭を身近に感じて楽しみ、冬は窓を閉じて寒さを防ぎ、窓越しに陽だまりをつくります。しかし最近は、真夏日を超えて猛暑日が連日記録される夏が通常となり、春と秋の気持ち良い季節が短くなった気もします。このように変化してきている日本の気候環境において、住まいも少しずつ変わっていく必要があるかもしれません。
 21世紀は「環境の世紀」とも言われていますが、特に東日本大震災以降、エネルギー問題は国家レベルの話ではなく、一般市民の暮らしにおいても意識されるようなってきています。そもそも「もったいない」という言葉が表すように、多くの日本人は無駄づかいを好みません。このような時代において、気候風土がつくり出す豊富な森林資源、古来継承されてきた木造の技術、現代日本が誇る工業化の進んだ生産システムなど、普段あまり意識していない中に活用できることが日本にはまだたくさんあります。従来の日本の住まいのあり方からヒントを得つつも、「イマ」の「ニッポン」に建てるということを意識することが大切だと思います。
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