ヘルシンキ郊外のオタニエミにアアルトの設計したフィンランド工科大学があり、
その中に小さな礼拝堂がある。
1957年に竣工。設計はレイッキ&カイヤ・シレン夫妻。
安藤忠雄さんが設計した「水の教会」を設計するにあたって、
このオタニエミチャペルを参考にしたと言われている。
祭壇のガラス越しに緑の中に十字架が見える。
自然と一体となった素晴らしい祈りの空間。
「水の教会」の場合は水の中に十字架がある。
木の架構が美しいが、
後ろのハイサイドからの光が強く、祭壇のガラスに映りこむのが気になる。
なぜ、そこにそんなに大きな窓をつけたんでしょうね?
前庭越しに礼拝堂を見る。
大きなガラスは、礼拝堂の後方のハイサイドのもの。
夏を除くほとんどの季節は、北欧は太陽高度が低いため、
周りの木々で直射日光が入らないのかもしれません。
前庭。
塀のディテール。このラフな感じが良いですね。
北欧17/テンペリアウキオ教会
気がつくと街はすっかりクリスマス一色です。
サンタクロースと言えばフィンランドということで、再び北欧旅行ネタです。
フィンランドの教会をいくつか紹介しましょう。
まずは、ヘルシンキの中心部にあるテンペリアウキオ教会。
こちらは岩盤を掘ってつくられた珍しい教会。
単純明快なつくりが素晴らしく、特に天井は圧巻です。
竣工は1969年。設計者はティモ&トゥオモ・スオモライネン兄弟。
岩盤を掘ってつくられた教会です。
天井は圧巻です。
こちらが天井のディテール。
ほとんどが岩盤に埋まっていて、天井の180枚の窓ガラスから光が差しみます。
週末は分刻みで、たくさんの結婚式が行われていました。
上部はこんな感じになっています。
神戸ルミナリエ
大震災の起こった年の12月(1995年)、
阪神・淡路大震災犠牲者の鎮魂の意を込めると共に、
都市の復興・再生への夢と希望を託し、「神戸ルミナリエ」は開催されました。
それは神戸の街と市民に大きな感動と勇気、希望を与えました。
今年で14年目になるそうです。
残念ながら、神戸はまだ震災前の状態に戻っていません。
震災後、壊れた古い建物はプレハブ住宅や平凡なビルに建て替わり、
一見すると震災の傷跡はありませんが、震災前をよく知っている私にとっては、
現状の町並みを見ると悲しくなります。
建築家としての使命を痛感させられます。
そんなことを考えさせられるこのイベント、永久に続けてもらいたいですね。
「六甲山上の展望台」は神戸の復興という意味でも重要なものだと思っています。
写真ではわかりませんが、アーチの向こうから押し寄せる人、人、人・・・
たくさんの電球でつくられた光のアーケード。
電球の数はいったいどれくらいあるのでしょうか。
六甲山上の展望台 公開審査2
「六甲山上の展望台」のコンペでは
展望台の他にコンテンツの提案も求められました。
六甲からの眺望の素晴らしさは、
自然の中で風を感じながら五感でその美しさを体感できることだと思います。
しかしながら、六甲山は麓との気温差が大きく、風もあり、
展望で滞在するには辛い季節が多いため、
寒い季節でも快適に展望を楽しむことができるように「足湯」を提案しました。
六甲の大地に座り込み、或いは寝転んで、裸足になってお湯に浸り、
眼下から頭上に開放された風景が身も心も解きほぐす、
未体験の展望ゾーン。
二次審査で使用した断面模型の写真です。
日大の学生(関川さん、松本君、小太刀君、山本さん、清水君)に
協力してもらいました。
薔薇のように何枚もの花弁が重なりあった形状をした空間となっています。
展望台にあがるスロープの上部が足湯になっています。
薄暗い曲面の壁に挟まれた空間は、
水面にきらめく光が眩しい海底のイメージです。
六甲山上の展望台 公開審査
先日、神戸の六甲山に行ってきました。
日本建築家協会(JIA)が主催する実施コンペの二次審査で、
100名を超える応募者から一次審査通過の5名による公開審査です。
お題は夜景のとても美しいところに建つ「六甲山上の展望台」。
詳しい内容はこちら。
かなりの接戦だったようで、結果は惜しくも2等。
1等は大学時代の同級生、三分一でした。
このようなコンペで1等をとるのは極めて難しいことですが、
やっぱり2等は悔しいです。
公開審査は六甲ケーブル山上駅の六甲ヒルトップギャラリーで行われました。
TV、新聞、出版関係者なども来ていて、審査会場は超満員。
立ち見の方も大勢いらっしゃいました。
右側の方でプロジェクターに映した映像を説明しているのが私(森)。
あちら側に座っていらっしゃるのが審査員の方々です。
公開審査が終わった時はもう夜。
その後、審査員、入賞者など大勢の建築家、および関係者の方々と
六甲ガーデンテラスのジンギスカンパレスへ。
その夜は、六甲山ホテルに宿泊させて頂きました。
赤坂見附交差点
自転車で事務所から帰る途中にある赤坂見附交差点。
毎年恒例の赤坂プリンスのイルミネーション。
あんまり品が良いものではありませんが、
高速道路や立体交差の隙間から見た時のインパクトを考慮すると、
分かりやすい巨大クリスマスツリーもいいかもしれませんね。
北欧16/アアルトハウス
アアルトのスタジオから歩いてすぐの所に自邸がある。
アアルトは最初はユバスキュラという小さな街で設計事務所をはじめ、
その後、トゥルクに移転し、そして、ヘルシンキ郊外のこの場所に、
自宅兼事務所をつくり、仕事場が手狭になりスタジオを建てた。
メインエントランス。
木の部分が住宅エリアで、レンガに漆喰を塗った部分が事務所エリア。
この当時のアアルトの定番、レンガに漆喰の仕上げ。
漆喰は経年変化して味のある表情を醸し出す。
住宅エリアの外装に使われている細い木板は、
アアルトの代表作の一つ「マイレア邸」の外装とほぼ同じです。
2階のテラスからは、建設当時は海が見えたそうですが、
今は住宅が建ち並び、海を見ることはできません。
なかなか快適そうな仕事場です。
北欧15/アアルトスタジオ
ヘルシンキの郊外にアアルトのスタジオがある。
建築家の巨匠アルヴァ・アアルトは、フィンランドの英雄でもあり、
以前、フィンランドのお札になっていたことがある程だ。
そのようなアアルトがどんなところで仕事をしていたのか興味があった。
建物の全体が白いので、晴れていると空が青く、光りが差し込み、
その白さが引き立つと思いつつ、
訪れた日は残念ながら天候があまり良くなかった。
しかしながら、コルビジェのサヴォア邸のように、
建物全体の印象が天候にあまり左右されないような気がした。
それは、北欧的な採光にも影響があるとは思うが、
素材の持つ力と洗練されたディテールがあるからだとも思う。
外装はレンガに漆喰を塗っている。
仕事場の天井は片流れで、杉板(?)型枠コンクリートに塗装。
両側にハイサイドライトが設けられ、適度な明るさが確保されいる。
こんな職場だと素晴らしい案が浮かびそう。
ラウンジは中庭に面して、天井を高くとっている。
内装は白で統一されているが、いろいろな素材が使われている。
写真ではその良さが伝わらないのが残念。
ラウンジの中庭側は緩くカーブしている。
北欧14/カレヴァ大聖堂
早朝、トゥルク港に到着後、足早に二つの教会を見学し、
午後一で特急に乗り込んでタンペレに移動。
このようなハードスケジュールになってしまったのは、
この教会がどうしても見たかったからだ。
アアルトの「夏の家」「ユヴァスキュラ大学」「自邸」など、
見学できる日時が決まっているものが多く、
少し無理をしないと効率良いスケジュールが難しい。
旅先で会った日本人も、やはり同じようなこと言っていました。
ところで、カレヴァ大聖堂はライリ&レイマ・ピエティラの設計。
何枚ものコンクリートの壁が天に向かってそびえ立ち、
その隙間から光が差し込むという単純かつ明快な建築。
今までに体感したことのないその物質感に圧倒され、
素材の持つパワーを改めて再認識させられました。
天にそびえ立つコンクリートの壁は圧巻です。
時々刻々と光が変化して、内部空間の表情も変わります。
天井です。
北欧13/タンペレ市立図書館
久しぶりに北欧ネタ。
気が向いた時に思い出したように北欧ネタを書いていますが、
時々「また北欧に行ったんだね」とか、
「随分長いこと行っていたね」とか言われ、
誤解を招いているようです(笑)。
久しぶりの北欧ネタは、タンペレ市立図書館から。
フィンランドの建築家、ピエティラの設計です。
雷鳥をモチーフにした斬新なデザインで、内部空間は有機的。
フィンランドと言えば、森と湖に覆われた豊かな自然、
そしてそこに住むサンタクロースとムーミン。
この図書館の地下はムーミン谷(ムーミン博物館)で、
世界中の旅行者は普通はそちらに行くようです。