





旅
高知3日目は室戸岬まで行ってきました。
足摺岬にある故・林雅子さんの「海のギャラリー」と、
室戸岬方面の集落のどちらに行くべきか悩んだ末、室戸岬へ。
早朝、高知市内の稱名寺本堂へ。
土佐派の建築家、山本長水氏の設計です。
その後、桂浜、龍馬記念館に立寄り、一路室戸岬へ。
途中で岩崎弥太郎の生まれた町、安芸市にも立寄りました。
こちらはその集落で見かけた美しい塀。
こちらは、山本長水氏設計の高知県立中芸高校格技場。
到着が昼休み時間にかかってしまいましたが、
丁寧にご案内して頂きました。
この建物は建築学会賞受賞作品の名建築ですが、
残念ながら、今は剣道部も柔道部もなく、
今はあまり使われてないようです。。。。。。
昼過ぎに、室戸岬に到着。
灯台越しに太平洋を望めます。海は広いです!
そして、吉良川町へ。
こんな美しい建物もありますが、
土佐漆喰と水切り瓦、いしぐろの町並みで、
重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
この塀も、なんて美しいのでしょう!
別のところにやや崩れていたところがありました。
石の切断面を表面に使っているんですね。。。
これは素晴らしい!
その後、土佐漆喰の壁に土佐独特の水切り瓦の付いた喫茶店へ。
ここは宿泊施設もあるそうです。
質素ながらとても落ち着いた雰囲気です。
喫茶店のマスターと話し込んでしまって・・・
飛行機が乗り遅れそうになりましたが、無事東京へ。
充実した高知建築視察でした。
今回の高知は堀部さんに竹林寺を案内して頂くのがメインでしたが、
話題の建築を見学してきました。
まずは、竹林寺に隣接する内藤廣氏設計の牧野富太郎記念館。
是非、ここには来てみたいと以前から思っていましたが、
やはり実際にその場に身を置いてみると、
離れるのが惜しくなるような素晴らしい空間でした。
展示空間の尾根に鉄骨の美しい曲線を描き、
それに寄り添うように木架構の屋根をつくっています。
傾斜に馴染むようにその鉄骨が地形を包み込んでいます。
素晴らしい!
こちらの高知駅も内藤さんの設計。
鉄骨と木造のハイブリットな構造デザインがいいですね。
車で高知市内から2時間程のところにある檮原町に行ってきました。
隈さんの建築がたくさんあります。
こちらはホテルと大浴場を繋ぐブリッジでもある雲の上ギャラリー。
日本の伝統技術をストレートに表現したデザイン。
この分かり易さが、隈さんの良さなんでしょうね。
こちらは檮原町役場。
行ったのが日曜でしたが、中を見学させて頂きました。
このざっくりとした木架構。潔いです。。。。。
そして、マルシェ・ユスハラでお茶を。
ファサードの茅の使い方がとても斬新。
そして、高知市内に戻って「沢田マンション」へ。
セルフビルドの建築として有名な集合住宅。
通称「沢マン」の書籍はいくつか出ていますが、
『沢田マンション超一級資料 世界最強のセルフビルド建築探訪』は、
大学の初見研究室の後輩、加賀谷哲朗氏の著書。
高知、竹林寺に行ってきました。
四国霊場第三十一番札所のお寺で、
納骨堂が今年、竣工しました。
その設計をされた建築家の堀部安嗣さんに、
竹林寺を案内して頂きました。
この美しい石畳を登った先に、本殿があります。
雨に濡れた石がとても美しく、
しっとりとしていて風情がありました。
こちらが納骨堂。
既存の木を避けるような控えめなアプローチ。
そして軒の高さを低く抑えられいているので、
おもわず首を垂れて内部に入ります。
堀部さんに設計哲学を解説していただきました。
四国八十八カ所霊場の寺ということもあって、境内も立派です。
客殿でいろいろなお話を聞かせて頂いた後、お店へ移動。
夜遅くまで堀部さんとご一緒させて頂きました。
堀部さん、竹林寺の方々、どうも有り難うございました。
東京は例年以上に暑い日が続きますね。
ということで、避暑も兼ねて軽井沢に行ってきました。
こちらはdocomomoにも選ばれている「軽井沢の新スタジオ」。
アントニン・レーモンドが晩年に設計した建物です。
以前から、見学させて頂きたかった建物ですが、
念願かなって、今回初めて拝見させて頂きました。
レーモンド事務所の元所員だった北澤興一さんが所有されています。
ちょうど茅葺き屋根が使えない法規ができた1962年の竣工で、
ガルバリュウーム鋼板を茅の下に敷いて許可が降ろしたそうです。
茅は一度やり変えたそうですが、やはり少し無理があるそうで、
やむなく数年前に茅をとってしまったそうです。
不思議な形をした屋根のトップは、暖炉の火が茅に移らないように、
曲った部分に雨水がたまるようになっているとのこと。
よりによってこの大事な時に、、、、、
カメラが壊れてしまいました。特に広角側が・・・・最悪!
でも、空間は最高でした。
中心の暖炉は構造体になっていて、
その上部に細い丸太が架かっています。
スパンがとんでいるからと言って太い材を使うのは野暮とのこと。
確かに、その組み合わせ方がとても美しいです。
壁がラーチ合板。レーモンドは好んで使ったそうです。
安くて丈夫で、枠材もラーチにすると一体感を増し、
経年変化で色が美しく濃くなるのが好きだったようです。
いぐさの縄で編んだ椅子は長持ちするそうです。
家具はすべてレーモンドの作品です。
ピントがボケていますが、
左から北澤さんと建築家と宮さん、阿部勤さん。
レーモンドが設計した住宅には、
他のデザイナーの家具は一切置かせなかったとのこと。
時々、自分が設計した住宅に行って、自分が設計したもの以外は、
所員にすべて外に出すように指示を出していたらしい(汗)。
さすが、巨匠です!
奥の主寝室の天井は、とても複雑な接合になっています。
いろいろと質問するさせていただくと、
北澤さんにとってもお気に入りのところだそうで、
熱く接合部について語っていただきました。
緑の中の佇まい、架構、簡素なインテリアなど、
50年の時を超えた素晴らしい建築でした。
今回の旅行の目的は、そもそも「桂離宮」。
現在進行中のサンクトペテルブルグのプロジェクトで、
桂離宮と同じぐらいの大きさの池があり、
その大きさと建物の配置を参考にするための訪問です。
「桂」もあいにくの雨でしたが、気は持ちようです。
雨の日は緑が映えますし、石の色がはっきり見えます。
しかも、雨の日は晴れた日よりもコントラストが落ちるので、
外の明るいところと室内の暗いところの両方を写したい場合は、
むしろ雨の日が良いくらいです。
池越しに見る松琴亭。
石畳の先に古書院。雨に濡れて石の色がはっきり見えます。
傘をさしていると、自然と下を見る時間が長くなりますが、
一つ一つの石にも趣きがありますね。
床のレベルが高いので、石の大きさがどんどん大きくなっていきます。
よく見ると最後の一段はかなり大きな石です。
雨の日は緑が瑞々しくて、美しいですね。
桂離宮の素晴らしさは、
日本庭園、建物配置から欄間、取手のディテールまで、
すべてにおいて密度が高いということがあると思いますが、
今回は庭園と建物との関係が特に見たかったこともあり、
池に沿って起伏のある小道を歩いていくにつれ
次々と展開する風景に改めて大きな感動がありました。
桂離宮はドイツの建築家、ブルーノタウトに再認識されるまで、
しばらくの間忘れられていたという話がありますが、
日本人としては何とも恥ずかしい話です。
時代によって変わる評価基準というものはあてにならないですね。
久しぶりの「修学院離宮」も、あいにくの雨。
事前に予約が必要な修学院離宮は、
晴れるかどうかは運まかせ。
最も高い所にある上の茶屋「隣雲亭」から京都が一望できます。
近くの山々は霧がかかって幻想的な風景でした。
上の茶屋の隣雲亭と言えば「一二三石」などで有名ですが、
雨だからこそ気づいたかもしれないこちらの樋。
建物から遠く離れた小枝で支え、雨水を落としています。
メンテの行き届いた修学院離宮だからこそできるワザとは言え、目から鱗。
雨樋のデザインは普段の設計でも苦労するところです。
軒がしっかり出ているということもありますが、
雨をものともせずにしっかり開いている佇まいが良いですね。
窓の向こうに落ちる雨音が安らぎます。
日本は雨が多く、湿度が高く、しかも暑い。
雨をどうデザインに取り入れるかが重要です。
時代を超えて現存する名作と言われる建物は、
現代のデザインのヒントになるものが沢山潜んでいると思いました。
夕暮れ時、鴨川の川床のカフェで、まずはビールを一杯。
その後、歩いて「割烹たいら」 という新しくできたお店へ。
カウンターが8席のみの小さなお店です。
料理はとても上品で美味しく、好印象。
3件目は祇園のNITIというバーへ。
堀木エリ子さんの和紙を内装に使ったシルエットの美しい空間です。
そして、ウエスティンホテルに戻り、バーでカクテルを一杯。
次の日の昼は、白川沿いのレストランへ。
白川と木造の古い建物。それだけで、絵になります。
川のせせらぎを聞きながら、神戸牛を使った料理に舌鼓。
心安らぐひとときでした。
2階は瓦屋根の連なりが美しい、1階と違った趣き。
そして、締めは八坂の塔の膝下、「東山艸堂」。
広大な敷地に建つ建物は、日本画壇の巨匠、竹内栖鳳の私邸。
古さを生かしたモダンな空間で、
緑が美しい昼間にもう一度行ってみたいお店です。
村野藤吾氏が設計した「佳水園」に泊まりました。
京都、蹴上の都ホテルの中にあります。
今はウェスティン都ホテル京都という名前になってしまい、
日本人としてはちょっと寂しいですね。
「佳水園」はホテルの一角にある数奇屋建築。
こちらが、その入り口の門。
こちらの門をくぐり抜けると・・・
雰囲気が徐々に変わっていきます。
敷き石も、少しづつきちんとしてきます。
基本的には、この庭に面して客室が配置されています。
客室数20室のこじんまりした建物で、低く抑えた庇が印象的。
昭和の数奇屋建築の名作です。
桂水園で最も素晴らしい空間は、このロビーではないでしょうか。
低い天井のこじんまりした空間ですが、とても落ち着きます。
庭に面して雁行した形状になっています。
ホテルなので基本的には共用部は土足ですが、
落ち着いた和のエッセンスが感じられます。
廊下は暗く、狭く、天井が低い。
だからこそ、外の風景が広く、美しく見えるのでしょう。
客室はこのような感じです。
俵屋のような高級旅館をイメージしていると、ちょっといまひとつですね。
お値段からすると仕方がないのですが、
あるいは、村野藤吾の名作ゆえに手がいれられないのかわかりませんが、
水周りや白い蛍光灯の照明など、
時代と共に手をいてれいった方が良いように思いました。