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新緑の美しい京都、四君子苑ほか

新緑の美しい春の京都に行ってきました。
まず、特別公開の四君子苑へ。
四君子苑は吉田五十八が設計した建物があるということで有名ですが、
実際に訪れると、上質なものがさりげなく点在している様、
そして、北村捨次郎の晩年の作とされる数寄屋建築に圧倒されました。
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室内は残念ながら撮影不可。
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玄関周りと美術館からのみ撮影可です。
その後、修学旅行以来の清水寺へ。
新緑が美しいとは言え、人、人、人、、、
ザ・観光地!風情は全くありません(笑)。
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間近で見たかったのは、この柱脚部分。
雨からしっかり木の構造体を守る機能的な美しさ。
こんなところに興味がある人はいないようです。
のんびり見れて良かったです(笑)。
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そして、高台寺の傘亭。何度見ても美しいですね。
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そして、その隣りの時雨亭。
その後、親の長寿のお祝いで菊乃井本店へ。

リッツカールトンホテル京都

俵屋旅館から京都迎賓館に行く途中、
最近、竣工したリッツカールトンホテルに立ち寄りました。
吉村順三設計のホテルフジタの敷地の建て替えです。
ほんの数年前、建築家協会の京都大会の後、
このホテルの地下のバーで夜遅くまで飲んだのが懐かしいですが、
京都も東京と同じようにどんどん変わっていきますね。
最近は京都の高さ規制がかなり厳しくなったようで、
事業収支上は超高級ホテルにするしかなかったとのこと。
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厳しい高さ規制のため、客室以外はほとんどが地下に埋められています。
吉村順三が設計したバーの前庭の面影が少し残っています。
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庇をしっかりした出して、和のテイストでありながらモダンな外観。
エントランスがややわかりにくく質素なのは、
日本の旅館を意識してのことなのでしょうか?
駐車場の入り口がやや目立つのが気になりましたが、
車で来ることが前提なのかもしれませんね。
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エントランスのこの松は桂離宮の手法ですね。
中に入ると、このような和のエッセンスが随所にみられますが、
高級感と敷居の高さを見せつけるザ・高級ホテルです。
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このような感じにところどころに人が立っているのですが、
泊まらない人にとっては見張られている感じで・・・
あまり居心地は良いものではありませんね(笑)。
川沿いのカフェゾーンとレセプションは大階段で分けられていて、
こちらのブリッジでつながっています。
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こちらがレセプション。
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川側のサンクンガーデン沿いにあるカフェでお茶をすることしました。
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昼時だというのに、カフェには客は一人もいませんでした。
たまたまなのか・・・・・
お値段が高いということを除けば、とても気持ちの良いカフェです。
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傘、格子といった日本的なキーワードにした西洋的内装です。
外国のビジネスマンがいかにも好みそうなデザインですね。
今、旬な京都の高級ホテルも素晴らしいとは思いますが、
老舗高級旅館の代表の俵屋旅館とは対照的な部分も多いですね。
同じ高いお金を払って泊まるなら、やっぱり「俵屋旅館」かな。

「俵屋旅館」カフェとギャラリー

「俵屋旅館」から歩いてすぐのところに俵屋のカフェ、
「遊形サロン・ド・テ」があります。
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真白の外壁に瓦屋根のセンスの良い京都らしい店構え。
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中は町家を改装したシンプルな内装。
フィンユール、ウェグナーなどの北欧名作家具が置かれています。
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一番奥の特等席がちょうど空いていたので、こちらの席に。
庭を眺めながら、美味しい珈琲を頂きました。
この隣に、俵屋旅館オリジナルグッズを販売するお店、
「ギャラリー遊形」もあります。
とても小さな旅館なのに、すべてオリジナルのものをつくり、
それを販売しているとは・・・・流石、一流です。

「俵屋旅館」霞の間

「俵屋旅館」の続きです。
今回、私たちが泊まったのは「 霞の間  」。
一応、今回は仕事をしようと思ってこちらに来ているので、
大きな文机がある「霞の間」を選びました。
恐らく一番リーズナブルなお部屋だと思います。。。
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旅館のこんな場所で文章を書いていると、
なんとなくいいことを書いている気になってきます。

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本間から文机を見るとこんな感じです。

一見、窓が開かない部屋なのかと思っていましたが・・・・
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文机側はとても細い枠に大きなガラスのはめ殺し窓になっていて、
もう片方が同じ寸法の細い框のガラス窓が開けられるようになっています。
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アップするとこんな感じです。
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夕方になると光が差し込み、美しいのですが・・・・
これでは文机でお仕事ができませんので、障子を閉めてみました。
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障子を閉めるとこのような感じ。
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そして、雪見障子を開けてみました。
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お風呂場の窓から身をのり出して外を見ると、
屋根が重なり合っているのがよくわかります。
塀の向こう側は、孔雀の間の文机のところ。
密集していても、窓の取り方でそれを感じさえないという点では、
現代の狭小住宅などと同じですね。
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うわさには聞いていましたが、こちらがふかふかの布団です。
床に就くと、あっという間に夢の中に・・・・。
「霞の間」の文机はなかなか良かったですが、
今度は「竹泉の間」に泊まってみようと思っています。
ちなみに、俵屋旅館はHPも値段表もないので、
部屋を予約する時は電話するしかないのですが、
「竹泉の間」だけはJTBで予約できるようです。
中村好文さんの「意中の建築」で「竹泉の間」は詳しく紹介されていますが、
新館の1階のプラベートの庭に面したお部屋で、そこの文机も良さそうです。
今回の泊まった部屋の隣の「孔雀の間」も、いつか泊まってみたいです。
「俵屋旅館」は、そんなことをあれこれ考えさせる名旅館です。

「俵屋旅館」窓からの風景

「俵屋旅館」の続きです。
少し早く到着したので、お部屋をいくつか見せていただきました。
どれも甲乙つけがたい部屋ばかり。
「俵屋旅館」は京都の密集市街地にあるので、
高密度に部屋が配置されていますが、
どの部屋からも庭を眺められるようになっています。
そして、外を眺めるという点で、様々なタイプがあって、
各部屋全部違うということに驚かされます。
例えば、こちら。
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忘筌を思わせる障子で風景を切り取った「栄の間」。
椅子に座って地窓からの庭を眺められます。
現代的な雰囲気もありつつも、しっかり和の神髄を感じさせますね。
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こちらが「富士の間」。
古典的な庭との中間領域に土間があるタイプですが、
部屋から直接、プライベートな庭に出られます。
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こちらが「暁翠の間」。
こちらも和洋というくくりでは表現できないデザインですね。
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「暁翠の間」の入口にはプライベートな庭がついています。
小さな庭ですが、とても贅沢な空間ですね。
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「孔雀の間」の本間は続き間となっているので、
とても伸びやかで、かつ、日本的な雰囲気がよく出ていますね。
左に文机、右奥がデイベッドが置かれた部屋があります。
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「孔雀の間」の文机。
京都の密集市街地とは思えない見事な庭ですが、実はここは2階。
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和紙が貼られた小さな部屋に置かれたデイベッド。
横になっても庭が眺められるようになっています。
贅沢なお昼寝ですね。
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限られた敷地を最大限使い切ったお風呂場の庭。
お風呂からの風景にも気を配っています。
ところで、建築家の間で「俵屋旅館」と言えば、
吉村順三が新館を設計したことで有名ですが、
実はその面影はほとんどありません。
それは少し残念ではありますが、
常に進化し続けているところが、俵屋旅館の凄さだと思います。
中村外二工務店が常にどこかを工事しているとのことで、
庭も内装もメンテナンスがかなり行き届いて、やはり一流です。

「俵屋旅館」のおもてなし

「京都迎賓館」見学のために泊まる宿となると、
やはり「極上のおもてなし」の名旅館に泊まろうということになり、
世界中の誰もが絶賛する「俵屋旅館」に泊まることにしました。
「俵屋旅館」は伊藤博文、大隈重信などの明治の偉人から
スピルバーグ、ヒッチコック、米国大統領などなど、
世界中の著名人が泊まったことでも有名ですが、
建築家の間でも高級旅館と言えば必ずこの俵屋が上がります。
これまでに何度も俵屋旅館の話になりますが、
この旅館の批判をする人に出会ったことがありません。
あらゆる分野の超一流の誰もが絶賛するこの旅館は、
何が、どれほど素晴らしいのかを実際に体感したいと、
前々から思っていたのですが・・・・・
はじめて実際にエントランスをくぐり抜けた時、
やや拍子抜けするほど「さりげない」というのが第一印象でした。
そして、帰る時にはまた来たいと思わせるようになっていて、
これぞ「おもてなし」なのかと、その神髄がわかった気がしました。
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一流ホテルとは違った質素な入り口ですが、
訪れたのが祇園祭りの時期だったので「ハレ」の顔。
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雁行しながら、先に進むとこちらに。
気張らない入り口ですが、素晴らしい屏風が飾ってあります。
季節によってしつらえは変えているようです。
高級旅館であることを感じさせない優しい雰囲気ですが、
さりげなくおいてあるものは超一流のもの。
暗がりの先に、中庭が見えます。
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とても落ち着く小さな中庭です。
廊下が迷路のようになっていますが、ここが分岐点になっています。
庭の向こうに見えるのが、
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こちらの図書スペース。
到着すると、こちらに通されます。
奥の部屋の壁は、和紙向こう側から光を透けさせる洒落たデザイン。
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こちらがアーネストスタディ。
オーナーのご主人、故アーネスト・サトウのお部屋だったところですが、
今はだれもが使えるパブリックなスペースになっています。
北欧家具と興味深い本がぎっしり。
本屋ではなかなか見かけかないような数寄屋建築の大型本などもあって、
つい自分の世界に入ってします(笑)。
ただ、部屋は広くはないので、他の人がいるとやや気になる距離感?
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センスの良い小物やお花があちらこちらに飾っています。
「おもてなし」が「サービス」とは違うのは、
そこに報酬が発生しないからだとどこかで聞いたことがあります。
サービス料はあるけど、おもてなし料というものはなく、
そこがホテルと旅館との違いだということらしい。
俵屋の超一流のおもてなしは、さりげない気配りだと思いました。
マニュアル化させれた親切さの押し売りは一流ではないんですね。
とても勉強になりました。
建物は吉村順三の手がけた新館、施工は中村外二工務店と器も一流。
長くなるので、今日はここまで。

「京都迎賓館」見学

一般非公開の「京都迎賓館」の見学に行ってきました。
東京の迎賓館とともに、国賓を接待する大切な場所として、
日本のトップクラスのものが結集した極上の空間となっています。
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正面玄関から入ると日本庭園を囲むように回廊があります。
池に浮かぶ石と稲穂をしばらく見入ってしまいます。
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奥に見える廊橋からの風景は素晴らしいのですが、
そこからの撮影はNG。
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こちらの和船で、船遊びができるそうです。
乗せていたただきたいところですが、勿論NG。
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京都迎賓館の中で最も大きな「藤の間」。
左側に能舞台があります。
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こちらが舞台扉の截金(きりかね)。
テレビなどでもよく紹介される人間国宝の故、江里佐代子氏の作品。
実物を是非、拝見したかったものでしたが、
あまりの完璧さ故にか、意外とその凄さがわかりませんでした。。。。
残念ながら、僕はまだまだ見る目がないようです(笑)。
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こちらの天井は、様々なシチュエーションに対応できる光天井。
なんとも凄いことになっています。
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こちらは畳が敷き詰められてた純和風の「桐の間」の廊下。
写真で見ると一般的な日本の寸法体系に感じられると思いますが、
実際はかなり大きな空間です。
日本的な空間に見えるためには単なる部材寸法というより、
縦横のプロポーションとそれに伴った部材の適切な寸法が重要なんですね。
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そして、こちらが「桐の間」。
全長12メートルの漆の一枚仕上げの座卓です。
これは圧巻です!
京都迎賓館の建物自体は鉄筋コンクリート造の建物ですが、
数寄屋大工の最高峰として知られる二つの工務店、
安井杢と中村外二が内装などで関わっています。
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土庇を支える柱は石の微妙な凹凸にあわせて木を刻んでいたり、
床は修学院離宮を思い出させる一二三石など、
日本の伝統を感じさせるディテールが随所に感じられますね。
今、日本の伝統的な空間の最高峰は恐らくここだと思いますが、
このような場に実際に身を置くことができ、とても良い体験させて頂きました。
一度で良いので、ここで極上のおもてなしをしていただきたいですね(笑)。

続・高知建築視察

高知3日目は室戸岬まで行ってきました。
足摺岬にある故・林雅子さんの「海のギャラリー」と、
室戸岬方面の集落のどちらに行くべきか悩んだ末、室戸岬へ。
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早朝、高知市内の稱名寺本堂へ。
土佐派の建築家、山本長水氏の設計です。
その後、桂浜、龍馬記念館に立寄り、一路室戸岬へ。
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途中で岩崎弥太郎の生まれた町、安芸市にも立寄りました。
こちらはその集落で見かけた美しい塀。
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こちらは、山本長水氏設計の高知県立中芸高校格技場。
到着が昼休み時間にかかってしまいましたが、
丁寧にご案内して頂きました。
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この建物は建築学会賞受賞作品の名建築ですが、
残念ながら、今は剣道部も柔道部もなく、
今はあまり使われてないようです。。。。。。
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昼過ぎに、室戸岬に到着。
灯台越しに太平洋を望めます。海は広いです!
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そして、吉良川町へ。
こんな美しい建物もありますが、
土佐漆喰と水切り瓦、いしぐろの町並みで、
重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
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この塀も、なんて美しいのでしょう!
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別のところにやや崩れていたところがありました。
石の切断面を表面に使っているんですね。。。
これは素晴らしい!
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その後、土佐漆喰の壁に土佐独特の水切り瓦の付いた喫茶店へ。
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ここは宿泊施設もあるそうです。
質素ながらとても落ち着いた雰囲気です。
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喫茶店のマスターと話し込んでしまって・・・
飛行機が乗り遅れそうになりましたが、無事東京へ。
充実した高知建築視察でした。

高知建築視察

今回の高知は堀部さんに竹林寺を案内して頂くのがメインでしたが、
話題の建築を見学してきました。
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まずは、竹林寺に隣接する内藤廣氏設計の牧野富太郎記念館
是非、ここには来てみたいと以前から思っていましたが、
やはり実際にその場に身を置いてみると、
離れるのが惜しくなるような素晴らしい空間でした。
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展示空間の尾根に鉄骨の美しい曲線を描き、
それに寄り添うように木架構の屋根をつくっています。
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傾斜に馴染むようにその鉄骨が地形を包み込んでいます。
素晴らしい!
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こちらの高知駅も内藤さんの設計。
鉄骨と木造のハイブリットな構造デザインがいいですね。
車で高知市内から2時間程のところにある檮原町に行ってきました。
隈さんの建築がたくさんあります。
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こちらはホテルと大浴場を繋ぐブリッジでもある雲の上ギャラリー。
日本の伝統技術をストレートに表現したデザイン。
この分かり易さが、隈さんの良さなんでしょうね。
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こちらは檮原町役場。
行ったのが日曜でしたが、中を見学させて頂きました。
このざっくりとした木架構。潔いです。。。。。
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そして、マルシェ・ユスハラでお茶を。
ファサードの茅の使い方がとても斬新。
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そして、高知市内に戻って「沢田マンション」へ。
セルフビルドの建築として有名な集合住宅。
通称「沢マン」の書籍はいくつか出ていますが、
沢田マンション超一級資料 世界最強のセルフビルド建築探訪』は、
大学の初見研究室の後輩、加賀谷哲朗氏の著書。

高知、竹林寺の見学

高知、竹林寺に行ってきました。
四国霊場第三十一番札所のお寺で、
納骨堂が今年、竣工しました。
その設計をされた建築家の堀部安嗣さんに、
竹林寺を案内して頂きました。
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この美しい石畳を登った先に、本殿があります。
雨に濡れた石がとても美しく、
しっとりとしていて風情がありました。
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こちらが納骨堂
既存の木を避けるような控えめなアプローチ。
そして軒の高さを低く抑えられいているので、
おもわず首を垂れて内部に入ります。
堀部さんに設計哲学を解説していただきました。
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四国八十八カ所霊場の寺ということもあって、境内も立派です。
客殿でいろいろなお話を聞かせて頂いた後、お店へ移動。
夜遅くまで堀部さんとご一緒させて頂きました。
堀部さん、竹林寺の方々、どうも有り難うございました。