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コロナ禍の卒業設計講評会

卒業設計の講評会のシーズンがやってきました。昨年のちょうどこの時期、中国のコロナが話題になり始めたのを思い出します。今年は卒業設計講評会をどのようにを行うのか?と世界中の大学で頭を悩ましていることでしょう。コロナの状況が刻々と変化する中で責任を持って決断し、学生と教員そして関係する多くの人たちに事前に連絡するのはとても大変なことだと思います。このような状況下、なんとかより良い方法を見つけて前向きに行動する人類は、改めて素晴らしい!と思ってしまいます。。。
今年も森は東京理科大学と日本大学、川村は東洋大学の講評会に行きました。結局のところ、東京のほとんどの大学は学生は学校には行かずオンラインとしたようですが、理科大は常勤の先生も含め、原則はそれぞれのIDで自宅や研究室からZOOMに入り、司会者も会場に行かないとう徹底ぶり。司会の西田さんの進行に沿ってZOOMで一人ずつコメントをしていくという進め方で、各人の興味のあるところ、考え方の違いが明確となり、評価の多様性が面白かったと学生にも評判が良かったようです。日大は基本的には先生方は大学に行き、参加できない先生はZOOMで参加するというやり方でしたが、どうしても盛り上がった会場がメインとなってしまい、会場にいる先生方はオンラインの存在を忘れてしまうという現象が起きてしまいました。僕は司会がオンライン上にいる理科大は家からオンラインで参加し、司会が会場にいる日大では会場に行きましたが、どちらも結果的には正解でした。その逆だった先生方は不満があったのではないかと思います。今後の課題ですね。
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こちらは日大の作品展示会場。審査会の数日前にデータが送られてきて、1次審査はデータのみで投票できるようになっていたので、特に当日オンライン参加の先生たちは会場を見ずに採点をしている先生も多かったようです。データとリアルな展示で採点が変わるかが個人的には興味深かったのですが、基本的にはあまり変わらないが、展示された大きな模型に採点が影響されることもあるという感想です。リアルの展示ではやはり模型のインパクトは絶大で、オンラインより努力や熱意が伝わり伝わります。例えば写真右手前の大きな模型が並んだプレゼンは好みを超えて多くの人の心を打ち、一等になりました。勿論、作品が素晴らしいのですが・・・。ただ、一方で大きな模型にすることで、墓穴を掘ってしまうこともあるように思いました。
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こちらは一等、内野さんの発表風景。オンラインだと発表者の存在感は小さく、発表後は作品しか印象に残らないというのが残念ですね。
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こちらは惜しくも三等、須賀さんの作品。模型はやや寂しいですが・・・、オンラインやデータを使った審査といった今年の発表方法にあった力の入れ方がむしろ興味深かったとも言えます。作品自体も既存の集合住宅にオフィス空間を新設した「ニューノーマルの時代の団地再生」と時代背景に沿ったテーマで新鮮さもありました。須賀さんは3年生の時からインターンでMDSに来ていた学生で、4月からスタッフになります。今後に期待しています!

MDS本のための再撮影

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以前、出版したMDSの本「暮らしの空間デザイン手帖」の改訂版を作成中です。この分野の本として記録的な売り上げだったのですが、5年も経つとさすがに売り上げが下がり始めているとのことで、コロナ禍の「今、日本に家を建てるということ」も意識した改訂版を出して欲しいと依頼を受け、新作15作品を追加して、内容も大幅に改定することになりました。その本の中で職住近接のことについても触れようと思っているので、成城の家の書斎とネイルサロンをそのような視点で再撮影させていただきました。
11月末出版予定なので、お盆休み返上で執筆です。。。

最初で最後の半分リアルな授業

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一見、これまで通りの設計課題の全体講評会の風景ですが、、、
東京理科大学の設計演習前期の授業は、他大同様にオンラインで行われてきましたが、前期最後の全体講評会は講師陣だけでも大学に集まろうということになり、各班5名合計40名の優秀者は模型を事前に持参し、発表当日はオンラインで行いました。講師陣はオンラインの発表とリアルな模型も見ながら講評、学生全員はオンラインでその風景を観るというスタイルです。
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モニターに映っているのは、森班の太田くん。大学にある模型をTAがiPhoneのカメラで写し、学生たちに同時配信。
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大学で大きく映し出された左側の画像は太田くんが自宅のPCをZOOMで画面共有したもので、右側は大学でTAが撮影している模型写真。さらに、本日、事情があって来れなかった新任の講師、牧さんは別のモニターに映し出されています。。。1カメ、2カメ、3カメ、、といくつもの映像があって、学生たちは自分の見たいものを見れるというシステムです。
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優秀者40名が発表を終えた後、講師一人5票持ちで投票。その集計の結果、上位4作品がこちら。一番手前、太田くんが全員の票を集めてダントツの一等でした。今後の活躍に期待しています!
どこの大学もオンラインを駆使した授業を試行錯誤しているようですが、悪いことばかりでなく、良いこともあるということがわかってきました。一方で、これまでオンラインでは見せてもらっていた模型を、改めて間近でみると新たに気づくことも多く、模型が持つパワーを痛感しました。オンラインとリアルをうまく組み合わせると良さそうですね。大きな進化が始まっています。

卒業設計講評会@日本大学

先週に続き、本日は日本大学生産工学部の卒業設計講評会に行ってきました。任期が切れて一度退任したので、日大は久しぶり。以前は中村好文さん、木下庸子さん、谷内田さんといった僕より上の世代のスター建築家がたくさんいたのですが、ほとんどが若い世代の講師に代替わりしています。

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まず模型と図面だけの審査を行い、票が多かった12人が2次審査に進みました。
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こちらは一等、中里くんの作品。1次審査の時からイチオシでした。府中刑務所の壁を街に溶け込ませて、周辺を活性化させる提案。街に対しての提案は良いのですが、刑務所の内部は全く提案がないのが、少し物足りない気がしました。
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こちらは樋口くんの作品。諏訪大社の御柱の祭りのクライマックス、木落しの山の対岸の敷地に建てる博物館のですが、建ち方を含めなかなか魅力的な提案と思いました。1次審査の時から2番目?に押し続けましたが、全体で4位。
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講評会の後は学生を交えて懇親会がありました。この学年は僕は教えていないのですが、つぎつぎと学生が講評の続きを聞きにきて、とても積極的。これから楽しみです。頑張ってください。