新年早々、渡辺篤史の建もの探訪で、MDSが設計した鎌倉長谷の家が紹介されました。
年末年始のお休み
MDSの忘年会。本年はいろいろとお世話になりました!
12月28日(木)〜12月8日(月)は年末年始のお休みとさせていただきます。
新年早々、1月6日(土) 4時30分、
渡辺篤史の建もの探訪(テレビ朝日)で長谷鎌倉の家が紹介されますので、
首都圏の方は、是非、(早朝なので録画して)ご覧になって下さい。
それでは、来年もどうぞよろしくお願いします。良いお年を!
「東小金井の家」久しぶりの訪問
一昨年前に竣工した「東小金井の家」に、久しぶりに行ってきました。
この住宅は、のどかな風景が残る東京郊外・武蔵野に建つ住宅で、
風景を切り取る小さな板を集積させたデザインが特徴です。
家の中においてその風景をそのまま取り込むのではなく、
場に合わせて風景を切り取り、
そのひとつひとつを改めて頭の中で組み合わせることで、
武蔵野の風景を感じられるようにしたいと考えました。
風景は小さな板(壁と床)をランダムに組み合わせて生じる隙間により切り取り、
目線の高さにより更に多様なものとしています。
太陽光の入り方や眺望、プライバシーの確保を意識しながら、
壁や床を配置することで明るいところと薄暗いところが生まれ、
単純なルールにして多様な場が生まれています。
明暗や天井の高さ、部屋の大きさの異なる場の繋がりは多様です。
階段の踊り場の様で、部屋のような不思議な場所。
子供部屋、寝室といった行為別にこだわらない建主の柔軟な考え方があったからこそ、
夏は涼しいところ、冬は暖かいところと最も居心地の良いところを探すネコのように、
その時々で過ごす場を移りかえていく多様な使い方のできる住宅になりました。
プライバシーが守られた上方は開口部が大きく、明るい。
軸の振れた壁と垂れ壁とレベル差が、空間を曖昧に分節します。
ダイニングテーブルの先にキッチン。
ソファのある寛ぎスペース(リビング)の先に、眺望の良いバルコニー。
夜になると、全く違った表情に。
光と影が空間を曖昧に分節します。照明計画はシリウスの戸恒さん。
人生フルーツ
今年、「ル・コルビジェとアイリーン」とともに、
建築家の間で話題となったもう一つの映画、「人生フルーツ 」。
なかなか行けずに、アンコール上映、ギリギリで観てきました。
こちらの映画は建築家、津端修一さんご夫婦のドキュメンタリー。
津端修一さんは、戦後復興期に住宅都市整備公団のエースとして、
阿佐ヶ谷団地や高蔵寺ニュータウンの設計をした人として有名ですが、
高蔵寺ニュータウンはご自身がマスタープランを描きながも、
市場原理で高層マンションが建ち並んだ街になり、
それに対抗するかのように宅地数区間を買って、敷地内を雑木林にしたり、
はげ山をドングリの里山にかえたりしながら、
夫婦で50年間暮らしたことも知られています。。。
実はJIA建築セミナーで数年前津端さんを訪ねたことがあって、
その時の映像も映画の中で出てきます。。。
敗戦から高度成長期を経て、現在に至るまでの津端夫婦の生活から、
日本人があきらめてしまった本当の豊かさを見つめなおすきっかけとなる作品。
ル・コルビジェのように一般人には全く知られていないし、
建築界でも知らない人は多いと思いますが、後世に残したものは大きいですね。
建築家、津端修一の素晴らしい生き様に感動!
コンクリートのハツリの仕上げ@西原の家
コンクリートのハツリ仕上げの確認のため、西原の家に行ってきました。
ファサードの大部分(写真上部)は特殊な型枠、写真左は杉板型枠のコンクリート。
正面奥のエントランスの壁は目白の家のリビングの壁と同じ仕上げに。
クリアをかけた状態を見るために、少し水で濡らして、離れて確認。
実はこの住宅のクライアントは目白の家に近くにお住まいで、
10年以上前、目白の家の工事中からMDSに興味を持ち、
家を建てる時にはウチに依頼することをお考えだったという、
とても嬉しく、とても有り難いお話です。。。
やり方はいろいろあると思いますが、今回はある程度ピッチでハツって(写真上部)、
機械の先を変えて微調整していきます。
まあ、こんな感じで良いのでは?
実際に現場で見て触って確認しないと、イメージ通りになりませんね。
全体が仕上がるのが待ち遠しいです。
「代々木の家」施主検査
「代々木の家」の施主検査に立ち会ってきました。
残工事が少しありますが、無事に年内にはギリギリ引き渡しできそう。
ホッとしました。。。。
実は、この住宅はMDSが設計した住宅で建築面積は最小。
ただ、開口部や吹き抜けなどでいろいろな工夫が・・・
そのあたりは、またの機会に!
全体講評会@東京理科大学
東京理科大学の設計の全体講評会がありました。
今回の課題は上野不忍の池の畔に建つ「彫刻ギャラリー」。
今回の採点方法は、各班3名の24名が発表した後、
各先生、1人に5点、2人に3点、3人に1点を入れ、
合計点で上位3名(毎年発行の冊子に掲載)を決めるということになりました。
かなり僅差で並びましたが、僕の担当した班の面々はなかなか奮闘。
近藤大喜くんは数点差で、惜しくも5位。
金子俊耶くんは完成度は高いものの6位。
そして、1等は武井あずささん。おめでとうございます。
本年度の設計の授業は終わり、これから学生は(試験を終えたら?)長いお休み。
国内外を問わず旅行に行き、建築で感動をして欲しいものです。
ANDO
六本木の国立現代美術館の安藤忠雄展に行ってきました。
会期中、もっと早めに暇を見つけていけば良いのに、
今回も、閉館ギリギリの最も忙しい時に行くことになってしまいました。。。
平日の昼間だというのにものすごい人混みでした。
建築の専門家ではなく、ほとんどは一般人だったのでないでしょうか。
建築の設計という範疇では、僕らが学生の頃がピークのような気がしますが、
今尚、幅広い分野で精力的に活動されているサマは、脱帽です。。。
展示されているものはほとんどどこかの展覧会で見たことがあるものですが、
屋上に展示された光の教会の原寸のレプリカは圧巻でした。
大学生の頃、実物は竣工早々に大阪に見に行きましたが、
こちらのレプリカは実物より劣っているわけではありません。
十字のスリットにはガラスの入っていない安藤さんの理想とした姿。
こんなカタチで理想のものを最終的につくり出す安藤さんの執念に、
感服させられました。やはり、凄い人です。安藤忠雄という人は。
山本長水氏の「かたつむり山荘」
四国の建築家の間で神様的(?)存在の土佐派の建築家、
山本長水氏をご存知でしょうか?
MDSのデビュー作、王子木材工業本社ビルが掲載された号の新建築に
稱名寺本堂も掲載されていて、僕はその時に山本長水という名前を知り、
4、5年前に稱名寺本堂と武道場に行ってきました。
山本さんとは、徳島の山奥、祖谷の温泉宿で集合。
そこで徳島の建築家の内野輝明さんと、
山本さんのレクチャーをしていただき、その後懇親会。
次の日の朝、日本三大秘境とも言われている落合集落へ。
こちらは長岡家住宅。
1970年代初頭、誰よりもはやく祖谷の魅力を発見したアメリカ人、
アレックス・カー氏は、今では古民家再生を通じて、
落合という限界集落の再生をプロデュースしていることが知られています。
古民家には宿泊もできるので、今では外国人もたくさん来ているそうです。
ちなみに、茅葺き屋根の断面、白っぽく見えるが稲藁で、
経年変化で白っぽくなっていくそうです。
そして、その上下挟んでいのがススキだでそうです。美しい!
詳しくは、こちら。
その後、いよいよ山本長水氏の「かたつむり山荘」へ。
奥深い山間に建つ「かたつむり山荘」。
ねじれた屋根が特徴的な外観は、森にとけ込んだ佇まいですが、、、
中はダイナミックでありながら落ち着く、素晴らしい空間です。
四半世紀以上経った今でも全く色あせない名建築も、
竣工当時、木造建築は建築家の仕事ではないという風潮もあって、
新建築といったメジャーな建築雑誌には全く相手にされなかったとか。
時代の先、あるいは違う方向に行ってしまうと、全く相手にされないということは、
ゴッホやモジリアニなど、絵画の世界でも同じようなことはありますよね。。。
ただ、建築は絵画と違って建て主から設計料をいただければ生きてはいけるので、
絵画とは少し違った側面もあるのですが、しみじみ考えさせられます。
そして、高知市内の稱名寺本堂へ。
僕は2度目の訪問でしたが、今回は長水さんのご案内ということと、
知識がいろいろとついた今だからこそ見えるものあり面白かったです。
和泉正敏氏の自邸
今回の四国はそもそも建築家協会関連で行くことなったのですが、
個人的に特に行きたかったのは、
和泉正敏氏の自邸と山本長水氏の「かたつむり山荘」。
集合して、まず、ジョージナカシマ記念館に行った後、
そもそも和泉石材の中にイサム・ノグチの工房があって、
そこが今はそのまま美術館になっています。
そこには民家を移築して、
改装したイサム・ノグチの家もあるのですが、
残念ながら撮影は不可なので、こちらの本を!
この撮影不可の家に泊まったことがあるというのが、、、佐藤由巳子さん。
JIA建築セミナーのまとめ役をやられている佐藤さんは、
イサム・ノグチがまだ存命の頃(つまり、美術館になるずう〜っと前)、
ジョージ・ナカシマの本、木のこころを翻訳中、こちらの2階に泊まったとか。
佐藤さんは和泉正敏さんとその頃からの知り合いということで、
和泉さんのご自宅を特別に拝見させていただくことができました。
和泉正敏ご本人にお会いしてご案内していただきお話をさせていただきました。
ただブログ等の掲載は控えて欲しいとのことで・・・
こちらの本、JAPAN LIVINGに掲載されています。
和泉さんは石工なので、建築家の山本忠司さんとの共作。
この家の特徴である石はコツコツご自分で積み、
両側の石の真ん中にコンクリートを流し込んでいるとのこと。
現法規では成立しませんが、キチンと建っていますね。
リビングや和室といった見せ場大きな石が積まれていて、
壁というよりは強烈なアート作品です。
適材適所に石の表情を変えて空間を分節して、
スチールのトラスで作られた軽やかな屋根が、
その全体を覆うシンプルな構成。
以前から訪れて見たかった念願の空間を体感できて感無量です。